社会保障費が膨張し、年を追うごとに財政赤字は拡大。公債残高は30年で5倍強へ。
日本の財政は、平成期において極端に悪化した。図1に見るように平成初期に約10兆円だった財政赤字(一般会計歳出と一般会計税収の差)は、「ワニの口」が開くように拡大基調にあり、2017年度は約40兆円。その差を国債の増発で埋めた。
平成初期に161兆円だった国の借金の残高(公債残高)は、17年度末に865兆円(見込み)と5倍強に膨らんだ(図2)。
ただ、利払い費はむしろ低下した。1999年に導入されたゼロ金利政策など、積極的な金融緩和政策が継続されたこともあって国債金利が低く抑えられたためである。しかし、金利低下による恩恵もそろそろ限界である。00年代半ばから利払い費は増加基調に転じている。
社会保障費は膨張も増税の先送りが続く
財政悪化の主要因は何か。一つは社会保障関係費がハイペースで伸び続けていることだ。
図3のように主に年金、医療、介護関連の支出からなる社会保障関係費は年によってバラツキはあるものの、一貫して伸び続けている。
年金は04年に「マクロ経済スライド」が導入され、賃金や物価といったマクロ指標の動きに連動して給付水準が調整されるようになり、年金総額が際限なく増えることはなくなった。医療や介護にはそうしたマクロ調整の仕組みはなく、依然として2年もしくは3年ごとの診療・介護報酬改定による調整策にとどまっている。
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