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商工中金の不正融資 温床は過度な支援制度

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経済危機時に限られるはずの制度で、平時にも税金を大盤振る舞い。

6月9日、商工中金の安達健祐社長は中小企業庁の宮本聡長官(右)に業務改善計画を提出(撮影:今井康一/右:共同通信)

国の制度である危機対応業務の条件に合うように、書類を改ざんして不正融資を繰り返していた商工組合中央金庫(商工中金)。外部弁護士らで作る第三者委員会がまとめた調査報告書を読むと、問題の根深さが垣間見える。

「危機要件の認定に影響する売上高や粗利益の金額部分を、はさみで切って貼りつける」

「従業員数が減少していないように見せかけるため、手書きで『6』を『8』に書き換えてしまう」

こうした子どもじみた手口のほか、「不正行為を行わずに、割当(危機対応融資実行のノルマ)がこなせない職員を指して、『正直者がバカを見る』と評する」といった記述もあり、同社の組織風土を想像させる。

危機対応策を漫然と

だが、不正行為の詳細よりも重要なのは、その温床となった制度環境だ。

金融秩序の混乱や大災害など政府が外部的要因による一時的な危機と認定した場合に資金供給を行う危機対応業務は、リーマンショック直後の2008年10月に開始された。それから9年近く経過し、倒産件数はバブル期の水準にまで減少。中小企業の資金繰りも大幅に改善し、危機はすでに脱したといえる(図表1、2)。

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