この秋に予定されている19大(中国共産党第19回全国代表大会)を控え、ポスト習近平の話題がそろそろ本格化する時期を迎えている。
もっとも、以前この連載の中でも触れたとおり、人事の大筋はすでに昨夏の北戴河会議で固まっているはずだ。この会議を受けて、昨年10月から地方の幹部人事に取りかかっている。
中国の人事は日本で考えられるほど、一人の指導者が決められるものではなく、大きな流れは党の人材育成システムが担っていると考えられる。
そう書くと反射的に思い浮かぶのが、党の下部組織で若手エリートを養成する共産主義青年団(共青団)だ。しかし、この組織が一義的に幹部人材育成の役割を担ってきたかといえば、そうではないことは現在の最高指導部メンバーを見れば明らかだろう。
貧困地区の行政経験が指導層抜擢の資格
実際、共青団も単純に有名大学の学生を青田買いするだけではない。汪洋(国務院副総理)のように貧しい労働者から抜擢された例も少なくない。
実に多様な人材が育成の対象となるのだが、それでも党の指導層への抜擢となれば、その時代ごとに一つの決まった資格が問われることになる。
現代の中国において、党指導層として問われる資格とは、「極めて貧しい地域の行政に携わった実績」である。これはもともと鄧小平の発想ともいわれ、典型的なのがチベット自治区の書記として修業を積んだ胡錦濤前国家主席の抜擢人事だとされる。
トウ小平以前の指導部の面々はいうまでもなく革命家たちであり、中国の隅々の事情に通じていた。トウ小平の発想の中に、中央で学力を基準に選抜される次世代のエリートたちに不足している経験を「貧困地区」で埋める目的があったことは間違いない。
そして、胡錦濤から続くこの伝統に沿った選抜がさらに厳しく求められている世代こそ、実はポスト習近平世代とその下に連なる世代なのだ。
いみじくも習近平は自らの治政を代表する言葉として「群衆路線(大衆路線)」を繰り返し、その象徴的な行動として、不正に私腹を肥やす官僚たちを、1日770件を上回る異常なペースで処分し続けてきたのである。
興味深いのは、ポスト習近平の最右翼とされる胡春華(広東省党委員会書記)もまた、この「習イズム」の実に忠実な実践者だということだ。
3日に1人幹部を粛清 反腐敗の申し子
そのことが如実に表れたのが、先頃発表された広東省における党員の処分のすさまじい実態である。
4月12日付「政事儿」の記事、〈広東省:18大(中国共産党第18回全国代表大会)以来470名の局長級高官を粛清 平均で3日に1人〉には、その様子が詳しく描かれているので、以下に一部を引用したい。
〈4月12日、広東省規委ネットに公開された通知によると18大以降、広東省は計470名の庁級幹部を処分した。これは過去10年で処分した数の1.6倍である。2012年11月14日から今日までの1610日間で470人の庁級幹部が処分されたということは、およそ3日に1人が処分されたことになる。〉
さらに「政事儿」が注目したのは、〈13年に広東省で43名の庁級幹部が処分されて以降、広東省はずっと庁級幹部の処分数で全31省中1位であり続けた〉ことだ。
庁級幹部とは地方の庁長、局長に相当する幹部であり、中国では国家高級幹部と認識される大幹部たちのことである。胡春華は12年12月に広東省のトップに就任して以来、こうした大幹部を粛清し続けていたことになる。
習近平のことをわれ先に「核心」と呼んで持ち上げることはしなかったが、ほかならぬ、反腐敗の申し子であったのだ。























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