今年2月に創業20年を迎えたインターネット通販(EC)大手の楽天。EC市場を切り開き、かつて気鋭のベンチャー企業と呼ばれた同社は今や連結従業員1万4000人の大企業となった。
一方で楽天を飛び出す人材も最近は増えている。複数の楽天関係者は「黎明期を支えた人材が抜けて、新天地でチャレンジし始めている」と指摘する。「楽天はリクルートグループのような人材輩出起業になっている」(同関係者)との声も多い。
楽天という場で経験を積んだ社員たちは、どうして起業という道を選んだのか。楽天ではできない何を求めているのか。30代のOB経営者4人に語ってもらった(全4回、5回目はOB名鑑を公開。座談会は2月中旬に実施)。
──祖業であり、今も主力事業である「楽天市場」についてはどう見ていますか?
嶋:先ほど(第3回参照)お話ししたように、ECC(楽天市場のコンサルタント)の商売に対する意欲が下がってきているように見えます。これは問題だと思います。楽天市場に出店する店舗経営者は、今のECCは「すごく頭はいいんだろうけど、商売の話はできないよね」と思っているようです。だから店舗経営者の気持ちがヤフーショッピングへと移っているのではないでしょうか。
倉橋:2013年にヤフーが手数料を全面無料化する「eコマース革命」を発表しましたよね。このときには、楽天市場はもうプレミアムモール化するしかないな、と思いました。プレミアムモール化とは、店舗や商品の数を追うのではなく、ユーザーが体験できる買い物の質を上げ、購買単価を上げていくということです。そちらに舵を切らないと、ユーザー獲得のための体力消耗戦になってしまいます。現に今の楽天市場は「スーパーポイントアッププログラム(SPU)」という最大でポイント7倍を付与するというキャンペーンをしていますが、これはまさに消耗戦です。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら