1月10日、トランプ氏にメキシコ新工場建設を批判されたトヨタ自動車の豊田章男社長は、米国ワシントンでペンス次期副大統領(当時)と急きょ会談した。トヨタ幹部は「会ったということは、両者の意思が合致していないとできないことだ」と自信を深めた。
ところが2週間後の23日、トランプ大統領は「日本の自動車貿易は不公平だ」と主張した。まさに脚本なき「トランプ劇場」。トヨタは25日に米国の工場増強に約6億ドル(約680億円)を投資し、約400人の新規雇用を行うと発表したが、そこから浮かび上がるのは、戦々恐々と顔色をうかがう自動車業界の姿だ。
ドル箱のライトトラック NAFTA見直しで異変
自動車業界を取り巻く情勢は、個別企業攻撃から次のステージに移りつつある。筆頭は、選挙公約でもあったNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉だ。1月31日にはメキシコのペニャニエト大統領と会談、カナダのトルドー首相との会談も近く行われる見通しだ。
「メキシコへの工場や雇用の流出を止める」とトランプ大統領は繰り返すが、NAFTA見直しについては何をしたいのか、具体的な要求は明らかにしていない。ロス商務長官の公聴会での発言などを総合すると、労働基準や環境基準を引き上げ、メキシコでの生産コスト増を図ること、電子商取引や国有企業、知的財産保護などについてのルール作りや原産地規制の見直しを視野に入れているようだ。
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