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山一・野村・一勧事件 総会屋事件が広げる証券危機の構図

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総会屋に対する利益供与事件は山一にも飛び火。飛ばしや贈収賄疑惑に加え経営危機説も浮上している。その証券危機の構図とは。

(大崎明子、田崎静夫、木村秀哉、原英次郎、福田淳記者)

「このままだと山一は本当に潰れてしまう」。8月1日、東京地検特捜部と証券取引等監視委員会による家宅捜索を受けていた最中、ある山一証券中堅幹部社員は悲痛の声を上げた。「なんとか再生へ向け、全社一丸となれるような刷新人事をしなければ……」。

しかし、8月11日に発表された役員人事はそれに応えるものだったのか。「この程度で求心力が発揮できるとは思えない。やっぱり、どこか外部の支援を仰がなくては再生できない……最悪の事態もありうるのか」。山一関係者の多くからこんな嘆きが聞こえてくる。創業100年を迎えた名門・山一年証券は“40年不況”以来の重大局面を迎えつつある。

「小池事件」だけではない

小池隆一総会屋グループに対する利益供与事件は、野村証券・第一勧業銀行にとどまらず山一証券へと広がりをみせている。

関係者によれば、山一は94年6月に本店首都圏営業部に小池被告の実弟が経営する「小甚ビルディング」名義の口座を開設し、半年で一割の利益を保証する一任勘定取引を開始した。だが、期限の12月末時点で約3000万円の損失を抱えたことから、95年1月にシンガポール国際金融取引所(SIMEX)で株価指数先物を自己売買し、それで得た利益をつけ替え、約7900万円を不正に提供したという。

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