名門・山一がついに力尽きた。「飛ばし」による粉飾は限界だった。自主廃業という敗北。しかし、真に負けたのは大蔵行政そのものだ。(金融問題取材班)
「金融恐慌」が現実味を帯びてきた。創業100年、四大証券の一角を占める山一証券が姿を消す。負債3兆円、連結ベースでは実に5兆円の空前の大型倒産が現実のものになった。しかも、市場は冷酷にも次の「生け贄」を探している。
今年に入り社会の空気がガラリと変わった。護送船団方式から市場原理による弱肉強食の時代へ。大蔵省の威光は薄れ、ビッグバンは変化に対応できない企業に退場を迫った。
1990年の暴落から証券不況7年。バブルの含み益は底をついた。これまでは「ツービッグ・ツーフェイル」(大きすぎて潰せない)、「大蔵省やメインバンクの富士銀行が何とかするだろう」。最終局面で山一証券は大規模なリストラや外資との提携などに新経営陣が着手したが、あまりにも遅すぎた。
実態を隠蔽したままの交渉に対し、相手は最後まで本気にならなかった。そもそも、隠蔽工作に参加した一部幹部が長く実権を握り続けた。証券業は一度「神風」が吹けば大きな利益が出るため、「飛ばし」による高値玉も処理が可能に見えたのだ。このため8月からの新経営陣は、気の毒にも山一の「隠れ損失」をつかみきれていなかった。社内にさえ秘密にする旧経営陣の体質が伝統ある山一を潰してしまった。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら