成長余地を失ったテレビ各局が、一斉に動画配信に打って出ている。ユーザー獲得は進むのか。
「本番5秒前! 4、3、2」。午後8時。東京・六本木にあるテレビ朝日1階のスタジオでニュース番組「アベマプライム」の収録が始まった。
キャスターを務めるのは小松靖アナウンサー。淡々と原稿を読む場面は少なく、終始笑顔で出演者に話題を振っていく。出演者は生放送中にもかかわらず、スマートフォンを手にSNSに感想を投稿することもある。何とも自由な収録風景だ。
番組には、普段テレビでニュースを見ない若年層が楽しめる話題もふんだんに盛り込んでいる。取材班が日々、ネットで若年層が何に注目しているかをチェックし、トピックを選別。YouTubeへの投稿を生業とするユーチューバーによる日替わりの動画紹介や、中学2年生が取材記者を務める「中2ニュース」など、若者向けのコーナーが満載だ。
番組プロデューサーの鎮目博道氏は、「若いユーザーが笑いながら見ることができ、ニュースも理解できる番組を作りたい」と語る。
今、民放各局が動画配信に本腰を入れている。背景にあるのは視聴者のテレビ離れだ。テレビは非常にゆっくりとその力を失い続けている。どれだけ視聴されているかを示す「総世帯視聴率(HUT)」や1日当たりのテレビ視聴時間の減少は歯止めがきかない。顕著なのが若年層のテレビ離れだ(図表1)。その結果、テレビ広告はいまだリーマンショック以前の水準に戻っていない。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら