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対立軸を示した2人の外交記者 朝日新聞の若宮啓文と日経新聞の伊那久喜

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この4月、日本外交を中心に健筆を振るってきた二人のジャーナリストが死去した。朝日新聞で主筆などを務めた若宮啓文氏と日本経済新聞の特別編集委員だった伊奈久喜氏だ。

若宮氏は1968年、朝日新聞に入社。20代半ばに勤務した長野支局では、部落差別の問題について著書『ルポ 現代の被差別部落』で世に問うた。政治部では宮澤喜一元首相、河野洋平元自民党総裁らを取材。論説主幹として朝日新聞の社説をリードした。小泉純一郎氏や安倍晋三氏の首相としての靖国神社参拝を厳しく批判。リベラル派の立場から自衛隊の海外派遣に慎重な姿勢を貫き、中国や韓国との融和を説いた。

2013年の朝日新聞退社後も、中国や韓国での講演活動などを続けた。得意の韓国語を駆使して、韓国紙にコラムを連載。15年には石橋湛山賞を受賞した。4月28日、訪問先の北京のホテルで死亡しているのが見つかった。病死とみられる。68歳だった。

伊奈氏は75年、日経新聞入社。政治部で自民党、外務省などを担当し、ワシントン特派員などを経て、論説委員や編集委員を務めた。保守派の立場から日米安全保障協力の強化を訴えた。集団的自衛権の行使容認を柱とする新しい安保法制を評価し、中国に対しては人権や海洋進出などの点から厳しく批判した。98年にはボーン上田記念国際記者賞を受賞。15年からがんの闘病を続けてきたが、4月22日に死去。62歳だった。

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