AIが社会的な注目を浴びるのは実はこれが3度目。背景にはディープラーニングという技術進化があった。その実力と実用への課題とは。
にわかに熱を帯びるAI(人工知能)市場。技術進化のトレンドから見ると、今は「第3次ブーム」の時期といわれる。これは一過性なのか、それともブームは本物なのか──。
AIの潮流をさかのぼると、第1次ブームは1950年代、第2次ブームは80年代に訪れたが、いずれも人間の脳に近づくには課題が見つかり、長続きしなかった。
第3次ブームがこれまでと異なるのは、ビッグデータ時代を迎え人工知能の分析対象となる情報量が膨張したこと、またコンピュータ能力が飛躍的に向上した社会的背景がある(図1)。さらに今回は技術的なブレークスルーも重なった。「ディープラーニング」の登場だ。
「らしさ」を学習して識別
ディープラーニングとは、AIが自ら学習する仕組みである「機械学習」のうち、人間の脳を参考にした「ニューラルネットワーク」という分析手法の一種だ。わかりやすくいえば、従来のように人間が教えたルールや傾向から物事を識別・判断するのでなく、機械自身が識別・判断のルールを見つけ出す仕組みだ。
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