2014年4月の春闘では基本給のベースアップ(ベア)がプラス0.4%となった。しかし、その後の11カ月間で、平均的な労働者の基本給は0.1%減となった。これは名目ベースの数値であり、インフレーションと消費増税がどれほど実質賃金を押し下げるかを考える以前の問題だ。そして、15年の春闘賃上げに関する今日のニュースを読む前に考えておかなければならないことだ。
労働者の賃金上昇はアベノミクスの最大の課題の1つであり、15年もそれは変わらないだろう。実質賃金の上昇がなければ、消費、そして経済全体の力強い復活はイメージしにくい。労働者の家庭の実質的な(物価調整後の)支出は、直近17カ月のうち16カ月で、前年比マイナスとなっている。これは、実質可処分所得が18カ月連続でマイナスとなっていることが大きい。
新聞は、今年の賃上げは久しぶりの高水準だとの見出しをつけている。経団連(日本経済団体連合会)による派手な見積もりによれば、大企業の賃上げ率は2.6%だ。だが、典型的な労働者の立場に立てば、残念ながらこれらはすべて誤解を招きやすい数字だ。
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