保護者と教員1200人調査でわかった「PTAは必要?」の超本音 肯定派が半数超えでも、改革は急務なワケ
例えば、PTA委員・役員がイベント開催の告知をしようとすると、こんな手順を踏むことが多いという。告知手段はメールなどではなく全校生徒に配布するプリントが前提。かろうじて書面はWordなどのデータが前年度から引き継がれているが、そのデータは学校保管のUSBで持ち出しは禁止。修正は学校にあるパソコンで行い、そこから学校のプリンターで出力することが大原則。
さらに学校にあるパソコンとプリンターを予約するためには、わざわざ学校に足を運んで申請をする必要があり、ネット受け付けはおろか電話受け付けすらNGだ。プリントの内容に関しても事前に1部出力して、教頭先生などに手渡して確認してもらい、承認を得なければならない。これは、都内のPTAで行われている実際の作業フローだ。これでは、とくに仕事を持つ保護者から怨嗟(えんさ)の声が上がっても仕方がない。
ちなみに、PTAを「必要」とした回答者に必要な役職と仕事を聞いたところ、以下の結果となった。「会長・副会長」が最も多い72.9%、次いで「会計」が65.9%。最も少なかったのが「卒業対策委員」の28.7%であった。これは教員にも同じ質問をしているが、同じような傾向が見られた。異なる点としては、保護者には重要視されている「書記」が、教員からはあまり必要とされていない結果になっている。

教員側もPTAを負担に感じている
今回は、教員にもPTAに関する意識調査を行っている。そこからは何が見えてくるだろうか? まずは、基礎データとして職場にPTAがあるかどうかの設問には、92.8%が「ある」と回答。PTAが任意であることも「知らない」とした回答は13.3%にとどまった。
そのうえでPTAの是非を聞いた設問を見ると「必要に思う」が54.2%、「不必要に思う」が45.8%と保護者よりも肯定的な意見が少なく、是非はほぼ半々の回答であった。

具体的にそれぞれの理由をフリーアンサーで見ていくと、以下のコメントが目立った。
【必要な理由】
・保護者との関係づくりができる
・学校行事で保護者の協力があり、ありがたい
・保護者と協力して生徒の指導ができる
【不必要な理由】
・保護者の負担が大きい
・教員にとっても負担が大きい
・結局は教員主導、教員作業になる
・形骸化している
やはり、ネガティブな意見としては負担の大きさが目立つ。それも、保護者の負担を懸念する声と同時に、教員側の負担を挙げる声も少なくなかった。勤務時間外にPTA活動にコミットしなければならないことへの負担が大きく、さらには「PTAから学校側へのクレームが激しい」といった回答も散見された。保護者も教員側も余裕がなく、半ば強制で行われるPTAは結果としてトラブルも発生しやすい。
ボランティア、シルバー人材の活用、ICTによる効率化などの改革案
では、どのような改革が考えられるだろうか? 「PTAに代わる組織、運営に関するアイデアはありますか?」といった設問を保護者と教員それぞれに聞いている。主な回答は以下となった。
【保護者】
・ボランティア組織として運営
・シルバー人材の活用、第三者への外部委託
・報酬化の検討
・不公平感のない輪番制の適用
・テレビ会議やSNSなどICTを活用した効率化