iPad「賢くなるための道具」と徹底する、さとえ学園小学校の秘策 保護者とも連携、レベルアップ型ルールの効用
「レベルアップ型ルールにより、周りの友達や上級生の様子を見ながら『早くブルーに上がりたい』『グリーンにレベルダウンしないように頑張ろう』など子どもたちのモチベーションが上がってピアプレッシャー(仲間からの圧力)が適度に働き、プラスの効果をもたらすことができたと思います」

保護者向けのICT研修会も開催
GIGA推進をさらに後押しするのが、保護者や家庭との連携だろう。
同校では、1人1台端末導入の前に全体保護者会を開催し、「iPadは賢くなるための道具」を合言葉に、導入の目的や保護者の理解・サポートの必要性について周知した。

ワークシート。赤字は記入例
導入初日は「親子ワークショップ」を行い、iPadの初期設定や家庭でのiPadとの付き合い方について説明し、親子で話し合いながらワークシートへの記載をお願いしたという。ワークシートはコピーし、リビングなど目に留まるところに貼り、家庭でもつねに意識できるよう促した。
「教職員だけでなく保護者全員が同じ情報を共有できるよう、全学年の学校行事の動画や校長先生のあいさつ、学年便りなどが閲覧できるポータルサイト『さとえチャンネル』に加え、『iPadの操作の仕方がわからない』など保護者からの質問や悩みにオンラインで対応する保護者用ポータルサイト『さとえ学園Help Desk』の設置・運営も行っています。保護者から受けた質問とその解決法もすべてサイト内でオープンにし、共有することで、不安の解消につなげています」
学校で使用している主なアプリ(児童の学習アプリは「スタディサプリ」「Qubena」「モノグサ」など、教職員と児童で共有しているアプリは「Google」「Evernote」「Trello」など)の説明や保護者のスキルアップを目的に、保護者向けの「ICT研修会」も年に3〜4回開催。
「保護者の皆さんも、とても頑張ってくださっています。今まで『デジタルは苦手です』と尻込みしていた方も、子どもたちの頑張りを目にしたり周りの保護者に触発されたりすることでスイッチが切り替わり、成長していく姿を目の当たりにし、子どもたちのみならず、保護者全体のレベルアップを実感しています」
「さとえ式レベルアップ型ルール」にも、保護者がチェックする項目を設け、家庭との連携が組み込まれている。ルール変更などの情報はサイト上に随時アップされており、保護者もいつでも共有することができるようになっている。

21年度から3年生以上は「CYOD」をスタート
「これまで教育界では、新しい教育を始める際、『完璧を目指してスタートする』という風潮が強かったと思います。しかし、先行き不透明な時代といわれる今だからこそ最初から完璧を求めず、まずは最低限できることからスタートし、先を想定しながら前に進み、改善すべき点が出てきたら素早く軌道修正していく“アジャイル”的な考え方が必要なのではないかと思います」という山中氏。
「さとえ式レベルアップ型ルール」で保護者と協働しながら子どもたちのICT活用のスキルとモラルの向上に取り組んできた同校は、次のステップとして、21年度より3年生以上は「CYOD」(Choose Your Own Device=学校から提示された端末・条件の中から自由に選んで使用すること)をスタートした。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら