江ノ電、乗って驚く「観音電車」で狙う観光復活 外観は普通の電車、車内は極楽浄土に「枯山水」
佐藤さんによると、「これだけ大規模に車内ラッピングを施すのは今回が(江ノ電では)恐らく初めて」。費用は非公表だが、制作には手間がかかっている。
ラッピングを担当したサイン専門会社、ワイエス・グラフィックス代表取締役の柳田寛さんによると、床の枯山水模様は長谷寺の庭園をドローンで撮影し、その画像を基に制作。床の通路幅は1400mmあるものの、ラッピング素材の幅は1200mmのため、継ぎ目がわからないように貼り合わせている。
壁面の金箔模様は「派手ではない金箔」という江ノ電側の提案を受けて特殊なインクを使い、「1時間に1mm程度しかプリントできないので、出力だけで130時間かかった」。室内の隅々まで柄を統一して貼り込む作業も苦労があったという。
"姉妹鉄道"の事例が参考に
寺院をモチーフに車内を装飾した電車としては、「嵐電(らんでん)」の名で親しまれ、江ノ電と姉妹提携する京福電気鉄道(京都府)が2019年に運行した「嵐電・観音電車」が話題を呼んだ。車内外に仁和寺観音堂の仏像や障壁画を装飾し、千手観音菩薩立像の腕が天井からぶら下がったようなインパクトあるデザインが観光客らの人気を集めた。
実は、今回の観音電車は嵐電の事例が参考になっているという。「内装の装飾をしたのはまさにそれ。今回の観音電車をやるにあたっては京福さんにも事前に話をしており、千手観音の電車を参考にさせてもらった」と、江ノ電観光企画部長の中沢俊之さんは話す。両社はほかにも営業施策などのノウハウを共有するなどしているといい、鉄道会社間の姉妹提携が有効に生きているといえそうだ。
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