「全国学力テスト」成績上位県の意外な共通点 小・中ともに石川、秋田、福井がトップに位置

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
文部科学省は8月末、5月に実施した全国学力・学習状況調査の結果を公表した。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となったため、2年ぶりの調査となったが、文科省は前回調査と比較しても「学校の臨時休業による学力への影響はなかった」としている。また都道府県別の平均正答率を見てみると、例年上位県である石川、秋田、福井が小学校・中学校ともにトップ3に位置。さらに回答の傾向を分析すると、意外な共通点が見えてきた。

2年ぶりの全国学力・学習状況調査、上位は?

全国の小学校6年生・中学校3年生を対象に行われた全国学力・学習状況調査の結果が公表された。2年ぶりの調査となるが、今年の平均正答率上位の都道府県は次のとおりである。

小学校・中学校ともに国語と算数・数学で石川、秋田、福井の3県がトップ3に位置している。これは2年前に行われた調査とほぼ同じ結果だ。その中でも今回は、東京が健闘し上位に入っている。

石川、秋田、福井のトップ3県は記述式の設問に強い

まず特筆すべきは、石川、秋田、福井の「記述式」問題の正答率の高さである。小学校・中学校ともに国語と算数・数学を通して全国平均を大きく上回っている。一方、東京は全体の設問を通して、平均を少しずつ上回っている。

小学校国語で、石川、秋田、福井が全国平均を最も大きく上回った記述式の設問は、文章のリライトを求めるものだった。「遊具は掃除担当の人が片付ければよい」と考える人を説得するために、丸山さんが書いた【文章の下書き】の一部を書き直す。ただし、次の条件を満たす必要がある。

〈条件〉
○「そうじたん当の人などがかたづければよい」という考えに反対する意見と、その理由を書くこと。
○【西田さんの話】から言葉や文を取り上げて書くこと。
○六十字以上、百字以内で書くこと。

「全国学力・学習状況調査【調査問題】」2021年

丸山さんの文章と西田さんの話という複数の情報を関連させながらリライトするという小学校6年生にとってはハードルの高い設問だ。全国平均正答率は56.6%。その中で石川は72.8%(全国平均より+16.2ポイント、以下カッコ内の数値は全国平均との差)、秋田は69.0%(+12.4ポイント)、福井は67.0%(+10.4ポイント)と全国平均を大きく上回った。一方、同設問の東京の正答率は55.3%と全国平均を1.3ポイント下回った。

これは国語の授業で、複数の情報を関連づけたり、それらの違いや共通点を意識したりするなどの学習が丁寧に行われているかどうかの違いによると考えられる。これは学習指導要領で重視されている「言葉による見方・考え方」にもつながる。

一方、小学校算数で石川、秋田、福井が全国平均を最も大きく上回った記述式の設問は、数式の意味を言葉や図を使って説明することを求めるものだった。

【4】(3)
30mを1としたときに12 mが 0.4にあたるわけを、【ゆうまさんの説明】と同じように、0.1 にあたる長さがわかるようにして、言葉や数を使って書きましょう。

「全国学力・学習状況調査【調査問題】」2021年

全国平均正答率は51.5%。その中で石川は63.3%(+11.8ポイント)、秋田と福井は60.5%(+9.0ポイント)と全国平均を大きく上回った。東京は正答率51.3%と全国平均を0.2ポイント下回った。

上記設問は、小学校6年生には難しい設問にも思える。しかし、実はこの設問の直前に【ゆうまさんの説明】として、14mが20mの0.7倍に当たることが図や文で示されている。極論すると、その説明の数値を入れ替えれば正答を導き出すことができるのだ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事