プログラミング教育の基礎知識 現状と教育現場での課題
また、2020年にLINEみらい財団が小学校教員を対象に行った別の調査では、プログラミングを勉強したことのある教員が66.5%に上る一方で、その中の69.6%がプログラミング教育に「不安を感じている」と回答しています。回答者全体では、73.3%が「とても不安」「やや不安」と答えています。年代別で見ると、20〜34歳の教員のうち87.8%がプログラミング教育に不安を抱いており、35〜49歳では77.0%、50歳以上では61.0%でした。
ここからわかることは、児童・生徒に教えるプログラミング教育では、自身がプログラミングに関する知識・経験があっても教員としての不安があることと、教員としての経験も不安の持ち方に影響を与えていることです。
負担の増加
プログラミング教育が新たに導入されると、教員の負担が増加します。
文科省の「教員勤務実態調査(平成28年度)」によると、小学校教諭の平均勤務時間は11時間超となっています。
昨今はニュースなどでも教員の残業が話題に上るようにもなっていますが、例えば中学校教諭は土日でも3時間程度を部活動に割いているなど、すでに拘束時間が長い状態がデフォルトになっています。
小・中学校ではプログラミング教育による新設科目ではないとはいえ、授業の中で新しい分野の指導をするためには、準備などの負担が大きくなります。とくに小学校では、英語教育も2020年度から必修化されているため、さらにプログラミング教育の重荷が降りかかるといった状況です。
高校の場合は、情報科目として指導しなければいけませんが、そもそも情報を教えられる教員自体が不足していたり、人手不足の中でどう教員を割り当てるのかといった人材配置も課題として挙がっています。
設備やスキル・ノウハウなどの課題に加えて、負担という意味でもプログラミング教育の浸透にはまだハードルがあるといえるでしょう。
まとめ

ここまで、プログラミング教育の概要と現状、課題について解説しました。
プログラミング教育の根幹は、プログラミング言語の習得ではなく、プログラミングを通じて学びを深める考え方を身に付けたり、現代の情報社会を理解し、社会に役立てることにあります。
これからの時代を担う子どもたちにとって、仕事・プライベートのいずれにおいても情報技術はなくてはならないものです。プログラミング教育によって正しい知識を身に付け、子どもたちの可能性が大きく広がること、さらにはそれを通じた社会のさらなる発展が期待されています。
(写真:iStock)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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