「全米最優秀女子高生」母語る、子どもの伸ばし方 注目の「非認知能力」を育む具体的な方法とは?

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「これからの時代を生きる子どもたちは、指示待ちではなく、自分がどう生きたいのか、主体的に考える力を育む必要があります。今まで意見を求められなかった子どもたちが、急に意見を求められている時代ともいえます。私も含め、私たちの世代は、子どもの意見は、あまり求められた記憶がありません。かつては、子どもが意見を持つことは重要どころか、むしろとがめられたかもしれません。何か意見を言うと、口答えしているとか、子どもの癖に、と言われたのではないでしょうか。でも、今の時代は子どもたち、そして大人たちも、自らしっかりとした意見を持つことが重要なのです」

大人たちも、変わらなければいけないと語るボーク氏。それには理由がある。

「非認知能力の育成の基本は、身近なロールモデルだといわれています。子どもは、身近にあるお手本を見て、まねて育っていく。それには身近な親や教師がどのような手本を見せるかが重要であり、いかによい環境をつくってあげるかということが大切です。子どもや生徒は、与えられた環境の中で、順応して育っていくことしかできません。子どもが自ら環境をつくる、ということはなかなか難しい。非認知能力を育てる環境をつくってあげられるのは、周りの大人たちなのですね」

非認知能力を育む環境づくり、3つの柱

非認知能力を伸ばす環境には3つの柱がある、とボーク氏は続ける。

「まず第1の柱は、安心安全な環境であること。自分はここにいていい、自分には価値がある、と思えることで、子どもは自己肯定感を健康に育んでいくことができます。得意なことだけではなく、不得意なこともひっくるめて、ありのままの姿を個性として、親や、教師など周りの大人が認めてあげる。みんなと同じであること、こうあるべきという姿を求めないことです。これは、子どもだけではなく、大人にも同じことがいえます。大人がまず、自分自身を正当に評価するというところから始めてください。自分にできないことは、子どもに対してもできません。まずは子どもを育む大人が、自分を大事にする。そうすることで、子どものいいところに目がいくようになり、自分や他者に対する声かけが変わってきます。

第2に、主体性を育むことです。そのためには、自分軸で夢を見る力を持つこと。他人の思惑や、他人軸で夢を見るのではなく、自分軸で夢を見ることを訓練してください。大人もそうです。大人が、自分の好きなことをやって、失敗を共有しながら、それでも前に進んでいく姿を見せることで、子どもも、夢のかなえ方、失敗してもいいんだ、ということを学びます。子どものパッションの芽を見つけるためには、お稽古も効果的ですね。お稽古とは、誰かと競い合うためにするのではなく、子どもの主体性を育むためにするものです。私自身も、娘が自らやりたいというものを見つけるために、バイオリン、ダンス、スキー、テニス、水泳、サッカー、バスケットなど、小さな頃から延べ15種類くらいの習い事を経験させました。

第3の柱は、主体的に始めたことを結果につなげていくことです。行動を結果につなげていくことが、人生をつくります。もちろん成功だけでなく、失敗も大事です。失敗から学び、成功を経験して、結果を出す。そのためにもう1つ重要なのが、論理的に考える力です。結果を出すために、情熱をどうしたら結果につなげられるのか、論理的に考えることを子どもと一緒に始めてください。目標のために今何をするべきか、できることは何か、とブレークダウンして考えてください。5分間でも毎日こつこつと続けることが重要です。論理的に思考し、問題を解決する能力を身に付けると、世の中に出たときにも役に立ちます。何かをやりたいと思ったときに、必ず壁にぶつかります。壁にぶつかったとき、論理的に思考する力、問題を解決する能力が育っていれば壁を乗り越えられるのです」

まずは、要となる子どもの自己肯定感をしっかりと育む。次に主体性を身に付けて、やりたいことでの成功体験を積み重ね、それと並行して、論理的な思考力と問題解決能力を磨きながら、情熱を行動力につないでいくことが重要だ。

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