青翔開智「自己肯定感」育む道徳を開発した深い訳 心理学や脳科学に基づくカリキュラムに刷新

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全身に力を入れてから脱力する「漸進的筋弛緩法」は生徒たちに人気

「生徒たちが日頃感じるストレスやモヤモヤする感情を科学的根拠に基づき説明しているからだと思いますが、皆うなずきながら集中して聞いてくれています」と、力久氏は手応えを感じている。織田澤氏もこう期待する。

「レジリエンスとメタ認知は一生使えるスキルです。さらにPBISの経験によって自分の力で環境をポジティブに変えていけるようになれば生徒たちはどこでもやっていけるでしょう。この道徳実践は本校の建学の精神の1つである『共成』(協調と自律)に通じると思い、実践を全学的に広めるためにも今年度から風紀委員会を『共成委員会』にリニューアルしました。この顧問も力久先生にお願いしており、『他者を受容し安心安全な青翔開智を目指す』という目的に沿った企画をやっていけたらと思っています」

力久氏も、「授業内容がイベント的なものにならないよう、共成委員会と連携して『生徒がつくる道徳の授業』なども実施していきたい」と、展望を語る。さらにもう1つ、今年度中に試験的に取り組んでいきたいことがあるという。

「ハワイなど海外で多く導入されている『Choose Love Movement』という実践があります。『勇気・感謝・ゆるし・思いやりを持って日々の選択を行うことで愛ある人を育て、平和な社会を築こうとする』という考え方に基づく実践なのですが、現在これを応用し、レジリエンス教育やPBISも含んだ包括的な『愛のプログラム』をつくっています。こちらも立命館大学大学院教職研究科の菱田準子教授に協力いただいていますが、中高一貫校の道徳でカリキュラムとして導入するのは、おそらく本校が日本初になります」(力久氏)

また新たな展開があるようで楽しみだが、力久氏はいずれも科学的根拠を大事にしており、アンケートや振り返りを通じてさまざまなデータを取っている。「数字は長期的に見ていきたい」と、力久氏。今後生徒たちの変化がエビデンスに基づく形でわかるようになれば、日本の子どもたちの「自己肯定感」という課題解決へのヒントも見えてくるかもしれない。

(文:編集チーム 佐藤ちひろ、写真と資料はすべて青翔開智中学校・高等学校提供)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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