文科省「StuDX Style」、GIGA元年に対策続々 とにかく前進、優良事例や指導面の悩み発信

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2021年4月、ついに全国の小中学校で「1人1台端末」と、高速大容量の通信環境下での学びが始まった。だが、これはあくまで始まりにすぎない。ハードであるICT環境の整備後はソフト、指導体制を含めた教育改革が続く。まさにGIGAスクール元年というわけだ。明治以来変わらなかった学びの風景が一変しようとする中、文部科学省も矢継ぎ早に対策を打ち出しており、先生たちはここが踏ん張りどころといえる。今、学校現場はどうなっているのか。現状と、今後どう改革が進んでいくのかを追った。

急ピッチで進んだ「1人1台」体制、現場の混乱は織り込み済み

GIGAスクール構想の実現に向けたICT環境の整備は、当初の計画を3年も前倒しして実現した。全1812自治体のうち、1769自治体(97.6 %)の端末納品が20年度末に完了したことで、文部科学省初等中等教育局の情報教育・外国語教育課長の今井裕一氏は、21年度を「いよいよ環境整備から利活用推進のフェーズに切り替わった大きな節目」と話す。

文部科学省 初等中等教育局情報教育・外国語教育課 課長
今井 裕一(いまい・ゆういち)
1995年文部省(現・文部科学省)入省。高等教育局大学振興課教員養成企画室長、同専門教育課専門職大学院室長、初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室長、大臣官房総務課副長、内閣参事官(内閣総務官室)などを経て2020年7月より現職

とはいえ、43自治体(2.4%)は納品未完了だ。主な理由は「端末の需給逼迫等による納期遅延」「入札の公示等はしたが不調になった」というもの。「端末本体は納品予定であるものの、インターネット接続回線の開通までに一定期間を要する」自治体もある。また、今後の納品予定については約半数が1学期中に完了としているが、残り半分は2学期以降になる。仮に端末が行き渡っても接続設定に手間取れば、さらにICT活用が遅れ、子どもたちの一定水準を保った公平な教育を受ける機会が損なわれることになる。

この問題について今井氏は「各自治体と連絡を取りながら、できるだけ早い納品に向けて、国としてできる支援を考えて働きかけていきたい」との意向を示す。

もともと19年12月に打ち出されたGIGAスクール構想では、段階的に「1人1台端末」の導入を進め、23年度中に達成するロードマップを掲げていた。それが20年の新型コロナウイルス感染症拡大防止のために全国の学校が一斉に臨時休業となり、学びを止めない対策としてオンライン授業の実現が急務となったことから、「1人1台端末」の環境整備が3倍速、4倍速の勢いで進められた。

当然、前例のない急展開に現場の混乱は必至だ。それを見越して文科省は「GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等について」という留意事項をまとめた通知を、21年3月12日に各自治体、学校設置者等へ送った。併せて学校設置者等が新しいICT環境を本格的に運用するに当たり確認しておくべき事項などを記した「GIGAスクール構想 本格運用時チェックリスト」「ICT の活用に当たっての児童生徒の目の健康などに関する配慮事項」「1人1台端末の利用に当たり、保護者等との間で事前に確認・共有しておくことが望ましい主なポイント」も添付した。

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