文科省「StuDX Style」、GIGA元年に対策続々 とにかく前進、優良事例や指導面の悩み発信

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これらのチェックリストや整理ポイントは「ICT活用が先行する自治体が行ってきたことを可視化したものです。留意点や配慮事項を整理して提供することで、現場の不安を少しでも解消できればと考え、通知しました。4月以降、さらにさまざまな悩みが出てくるはずですので、現場の状況を把握しながら第2、第3の対策を講じていくつもりです。端末の運用管理や、教育での利活用について支援が必要であれば、ICT活用教育アドバイザー、GIGAスクールサポーター、ICT支援員といった外部人材を活用することもできますし、20年12月末に教員のICT活用指導力の向上のために、よりよい支援を行う『GIGA StuDX(ギガ スタディーエックス)推進チーム』を文科省内に立ち上げました」(今井氏)という。

教育現場に求められる変化への柔軟、機敏な対応

GIGA StuDX推進チームは、教員あるいは教育委員会の経験があり、ICT教育や学校の実情に精通する8人の専属メンバーで構成されている。今後は、全国の教育委員会や学校などの声を聞き、現場の参考となる事例の発信・共有などによって、支援活動を展開していく。また「1人1台端末」の活⽤⽅法に関する優良事例や指導面における悩みといった本格始動に向けた対応事例などの情報発信・共有を行うサイト「StuDX Style(スタディーエックス スタイル)」も開設。徐々にコンテンツの拡充を図り、教員をサポートする体制を強化していく。

GIGAスクール構想をシステムやソフトウェアの開発に例えるなら、ウォーターフォール型だったプロジェクトが、アジャイル型に急に変更されたようなものだ。100%完成してからスタートするよりも、完成度は低くてもスピード重視でプロジェクトを走らせ、その中で変更、修正のアップデートを繰り返してクオリティーを上げていく。そのやり方に戸惑いや批判はあるかもしれないが、学びが変わるGIGAスクール元年が幕を開けたのだから、教育現場も新しい環境を受け入れ変化すべきだろう。

「データを取ったわけではありませんが」と前置きしつつ、今井氏はこんなエピソードを紹介する。

「本格運用時チェックリスト」などを利用して「ソフトや機能を制限せず活用する方向で検討をお願いしたい」と話す今井氏

「例えば、子どもたちがICT端末を使ってインターネットで望ましくない情報に触れたり、そこでトラブルが生じたりするのではないかと心配する学校、教員も少なくありません。端末を家に持ち帰ることができるので、学校外でのトラブルをおそれて、文科省が標準搭載してほしいと考えるソフトや機能を、学校設置者や現場の判断で端末のセッティング時に絞っている場合があると聞いています。われわれとしては、子どもたちに使いこなしてほしいと思うソフト、機能を提示しており、こうした懸念をクリアするために『本格運用時チェックリスト』などを用意していますので、ぜひしっかり準備をしていただいたうえで、ソフトや機能を制限せず活用する方向で検討をお願いしたいと思います」

高校「1人1台端末」、デジタル教科書、CBT化などタスクは山積

過剰反応していては、ICT活用教育は進まない。ましてやGIGAスクール構想は、序章が始まったにすぎない。この構想の目的は、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、個別最適な学びを全国の学校現場で持続的に実現することだ。学校の授業におけるデジタル機器の使用時間はOECD加盟国で最下位という世界標準から見た教育格差も早急に埋めなければならない。

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