関西学院「AI活用人材育成」授業に学生殺到の訳 「日本IBM」と連携して開発した本気プログラム

2002年より関西学院大学理工学部情報科学科専任講師、06年助教授、12年教授。14年より学長補佐。専門分野は数理工学。21年4月より工学部情報工学課程教授
また、e-Learning科目では、学生からの初歩的な質問はAIによるチャットボットで即対応できるようにし、解消されない疑問には教員が対応する体制を取るという。AIによって限られた人的リソースを有効活用し、学生の学びの機会を確保するというわけだ。
e-Learning科目ではテストもオンラインで実施する。知識の有無だけでなく開発スキルも評価できる設問にし、AIによる顔認証やランダム出題などの不正防止策も組み合わせ、適正な成績評価を可能にしたという。
学生たちが積極的に動く理由
巳波氏は、同プログラムを通じた学生たちの成長をうれしく思っているという。

「開講1年目の学生たちから『演習科目の開講まで待てない。今からAIを活用したプロジェクトをやりたい』という声が上がりました。それを機に、人間福祉学部や理工学部の学生のチームが、企業と一緒に福祉関連サービスのAI活用を検討するプロジェクトを立ち上げました。総合政策学部と理工学部の学生が医療関係のAI活用を検討するプロジェクトも生まれています。
また、本学が行っている小中高生向けのAI活用のワークショップでも、運営メンバーを募集するとすぐに30人ほど学生が集まります。今の大学生は、強制力を使わなくても、関心の方向性が合致するようにうまく設定すると、積極的に動くのです。主体的に動き自らも学びを深めていく学生を見ていると、非常に頼もしく思います」
学生たちの学ぶ意欲を引き出すAI活用人材育成プログラム。その導入に当たって留意すべき点を村田氏はこう指摘する。
「本学の目標は、卒業生が『真に豊かな人生』を送ること。そのためには質の高い就労が必要と考え、自分の力で生きていくためのスキルが身に付くプログラムを開発したわけです。日本IBMと組めたことは非常に大きかったと思います。しかし、AI活用人材をどう育てていくかは、その大学の教育理念や立ち位置、学生のニーズによって異なるので、そこをまず明確にすることが大切です」
DX(デジタルトランスフォーメーション)によって産業構造が大きく変わる中、コロナ禍によってそのスピードはさらに加速している。学生だけでなく、社会のニーズにも応えるAI活用人材育成プログラムは、今後さらに存在感を増していくことだろう。
(写真はすべて関西学院大学提供)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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