G suiteとは? 実践で使えるクラウド活用術 GIGAスクール、押さえておきたいはじめの一歩

「こうして作成したフォームの内容はURLが発行されるので、それを保護者へのメールに記載して送るだけで展開できます。またG Suite for Educationには、オンラインでホームルームが開けるような『Classroom』という機能もあるので、ここで連絡を取り合うのも便利です。かつては、個人情報の漏洩などを恐れるあまり学校側から保護者にメールを送信することは少なかったですが、図らずも新型コロナによる休校時にメール活用も進みました。今後GIGAスクール構想が本格稼働すれば、校務のオンライン化も実現するはずです」(貝塚氏)
このほか、簡単な小テスト程度であれば、作成・自動採点が行える「アサインメント」といった機能もある。先生方にとって、宿題のチェックや採点というのは日常的に負荷の高い業務である。採点を自動化できれば、間違ったところの指導に時間を割くなど、より生徒と向き合うための時間を確保することができるという。

先生の手間は増やさない、オンライン授業
もちろん、クラウドが学校を変えるのは、校務だけではない。授業にも大きく役立てることができる。その点でポイントとなるのは、「オンライン授業」や「協働学習」といった観点だ。ただし、オンライン授業となると「先生方が一から動画作成などに挑まなければならず、かえって負荷が広がるのではないか」といった懸念が現場にはあるようだ。この点も貝塚氏は「一から先生が動画を作る必要などはまったくない」と以下の方法を説明する。
●「Meet」で地方や海外とつないだ授業
「Meet」は、オンラインでビデオ会議が行える機能。この機能を利用できればオンライン授業が可能になるが、何も先生だけが授業を行う必要はないという。例えば社会の授業で戦国時代の城の役割を学んでいたとしよう。このコロナ禍で社会科見学もままならないが、有名な「城」が残る地方の学芸員さんに依頼して、オンラインで1時間お話を聞かせてもらうといったことも可能になる。こうしたオンライン授業は語学でも有効であり、すでに海外と結んで外国語の授業を行う学校も存在する。
●動画制作はデジタル教科書やYouTubeに任せる
例えば授業の動画は、「とある男が授業をしてみた」で人気を集めるYouTuber葉一氏やデジタル教科書など優秀なコンテンツがすでに多くあるという。こうした動画を活用することで、先生方はさらに子どもごとに違いの出てくる理解の深度をフォローすることに注力できる。
「受験内容が詰め込んだ知識で競う内容から、思考力や表現力を求めるものに変わってきているように、これからの社会というのは、自身で考え、発表し、フィードバックをもらいブラッシュアップしていく力が必要とされています。これまで日本の義務教育というのはその点をなかなかカバーできていませんでした。そこをICTを活用して強化していこうというのがGIGAスクールの本来の目的の1つです。G Suite for Educationの『ドキュメント』や『スライド』といったツールが共同編集可能なこともそういう意味で利便性が高いはずです」(貝塚氏)