熊本発「ウェルビーイング」が教育に必要な理由 今、ICT教育で注目の熊本県がイベントを開催

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14日に開催された「学校教育の未来〜新時代の学びの創造〜」のパネルディスカッション(KEW2020より)

苫野氏は、城東小学校の健康教育の実践について、健康という大きなテーマの中から子どもたちが自らの生活の中で問いを立てて取り組んでいる点を、「先生主導で進める従来の構成主義から、子どもたち主導の非構成主義に大きく変えることができている」と評価し、「先生がお膳立てをすると、学びの責任が自分のものにならない。自ら問いを立てて取り組むことで、学びや自分の人生そのものを、自分が切り開いていくという姿勢を育むことができるのではないか」と語った。

秋田氏も、「生徒が学校でいつも眠くなるのはなぜか」という「自分事」のテーマを取り上げて課題解決に挑み、自分たちの生活スタイルの見直しだけでなく学校のカリキュラムの変更を提言した必由館(ひつゆうかん)高校の実践報告に触れながら、自分たちの問いから始めたからこそ、自身の行動変容の実現や社会を変える提言につながったのだろうと考察した。

Well-being、すなわち自分自身と社会のよりよい未来に向けて、主体的に考え行動できる子どもを育成するためには、学校教育のスタイルを「自ら問いを見つけて、自ら学び取り、実践・実行する」という形へと変える必要があるようだ。

浅野氏は、「子どもたちの関心はそれぞれ違うため、先生の知識だけでは対応できなくなっていく。先生の役割は、子どもたちの問いに伴走して学びを深めるガイド役のように変わる」とし、「これからの教師の専門性は、人の成長や組織をリードする役割になっていくだろう」と話した。

鈴木氏は、「実際に、生徒と長い時間一緒に過ごしている先生だからこそできることは、その子の関心を引き立てその子に合ったレコメンデーションをすること」と述べ、これからの先生には100人100通りの対応力が求められるとした。

熊本市ではすでに、小学校から自ら問いを立てて自ら学び取るスタイルへの転換が進められている。それぞれの学校の実践報告では、子どもたちが主体となる新しい学び方にICTを効果的に活用している様子が共有され、1人1台が配布された後の学びがどのように変わっていくべきなのか、リアルな事例で示唆された。

校則を見直すのは「社会」に貢献する姿勢を育むため

15日にKEW2020の最後を締めくくったのは、遠藤教育長、認定NPO法人カタリバ代表理事/今村久美氏、熊本市立城東小学校校長/佐藤俊幸氏、内閣府地域活性化伝道師/三角幸三氏が参加したパネルディスカッション「Well-beingを実現するための教育」。個人の幸せだけでなく、社会全体の幸せを考えていける人を育てるために必要な教育のあり方について、熱い議論が交わされた。

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