ドルトン東京学園校長の荒木貴之氏が重視する「学習者中心主義」にICTが欠かせない理由 ドルトン東京学園の挑戦から見えてくるもの

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撮影:やどかりみさお

私たちはつねに、自由をはき違えないことを意識しているのですが、ドルトンプランの自由とは、学問の自由、「アカデミックフリーダム」です。自分の興味関心を追求することに対しては、とことんやってよい。そして、子どもたちが、自分の興味に従って没頭できるような環境を用意するのが学校だと考えています。

自由を与えるというのは、カフェテリアに例えることができますが、われわれは決して子どもの口まで食べ物を運ばないように気をつけています。自由は用意するのですが、つかみ取るのは自分自身。やりたいことが見つかった時には、最大限のサポートや応援をしますが、見つけるのはあくまで子ども自身だと考えています。

昨年、わが校の中学1年生の生徒が、中学生科学コンテストの東京都代表に選抜されたのですが、「アカデミックフリーダム」で存分に没頭できる環境を用意してあげることができれば、子どもたちは自分自身の力で学びを深めていくことができるのですよね。

今後、子どもたちの作品をデジタルでアーカイブする「デジタルミュージアム」というものを作りたいと考えています。先輩が作った過去の作品や学びを振り返ることは、これまでなかなかできませんでしたが、作品がずっと残り後輩がそれを閲覧することは大変意義のあることです。私自身の長年の悲願でしたが、ようやく日本教育のICT活用がここまで進んできたなと感じています。

学校が提供するもう1つの価値は「コミュニティー」

一方で、「学校」という場の価値は、個人の興味をアカデミックに深めることだけではありません。子どもたちがさまざまなコミュニティーに属することができる場であることも、学校が提供すべき重要な価値の1つです。

人と人とのつながりは、個人の興味関心の幅を広げますし、社会で必要となる重要なスキルでもあります。クラスや部活のようなものだけでなく、もう少し気軽な同好会のようなものもたくさんあったほうがよいし、ドルトンでは誰もが複数のコミュニティーに属したほうがよいとしています。実際に、わが校にもたくさんの同好会的なグループが立ち上がっています。

フルオンラインでも授業は成立しましたが、一度も対面したことのない人と深い関係を築いていくのは実はとても難しいことなので、学校という場でリアルに対面することは、子どもたちのコミュニティーに対する帰属意識を醸成するのにとても重要な役割を果たしていると感じます。

世の中のオンラインコミュニケーションは進化していますが、リアルな対面の経験のうえで活用すれば、ICTツールは子どもたちにとってさらに強力なものになると思います。

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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