デジタルハリウッド大学大学院の佐藤昌宏教授が語る「学びが止まった国と継続できた国の致命的な差」 ICTがもたらす教育現場の劇的な変化
そのためにも、GIGAスクール構想が大きなカギを握る。教室にコンピューターを持ち込むことで授業に関係のない動画を見るのでは、といった懸念材料がないわけではない。しかし、逆にコンピューターの活用を抑制することが、子供たちの積極的な学びの機会を邪魔することになりかねないと佐藤氏は指摘する。
「インターネットの浸透によって、知のあり方がゲームチェンジしていく中で、子どもたち自身が学びの姿勢を変えつつあるのです。実際、ネットでは、自分が勉強する姿をアップするというトレンドがあり、視聴回数が数万に達している動画もあります。あえて勉強中の姿を公開することによって、自分が見られているというプレッシャーをモチベーションに転換している、また承認効果が得られることも大きいでしょう。一方、視聴者側は、自分もまねて勉強し続けなければならないというミラー効果があるのです。子どもたち自身は言語化できていないかもしれませんが、自然にITツールを使って、自分が勉強しやすい環境をつくりあげているのです」
最後に、これからの教職員の役割についてコメントをもらった。
「今、何が起こっているのかを知ってほしいと思います。世界の教育イノベーションの動き、ICTの可能性、そして子どもたちの動きです。確かに、専門家の議論と現場との間にギャップがあることも事実でしょう。しかし、GIGAスクール構想で日本の教育現場は大きく変わっていきます。義務教育の児童生徒1人1台を与えることによって世界トップクラスの環境が手に入るのです。それだけ大きな可能性があるということです。ただ誤解してほしくないのは、ICTの活用は、あくまでも手段にすぎないことです。目的は、自ら積極的に学びに向かう子どもたちを育てるためにある。ですから、これから教育は知識を注入するのではなく、子どもたちが自らの学びを構築していくことを支援する役割になってほしいと期待しています」
(写真は本人提供)
制作:東洋経済education × ICTコンテンツチーム
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