衆議院議員の遠藤利明氏に聞いた「GIGAスクール構想」でICT教育を急ぐ理由 地域格差に懸念も、できるところからやる

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「確かに、学習端末が約900万台必要であり、全国の学校に一斉に導入するのは難しい。現在は、新型コロナウイルスの感染者数が多い自治体から優先して導入を進めている段階です。これまで、どこでも同じ、平準化された最高の教育を受けられる日本の教育のすばらしさは、高く評価されてきました。しかし、端末がそろってからやる、ではいつまで経っても教育は変わりません。

多様性のある教育を実現しようとすると、100%の平等を前提としていては何もできない。できるところから始め、導入が遅れているところにはどのような対策を立てるのか。そのうえで、遅れている自治体をフォローすることも政策的に考えています。でも正直なところ、もう少しやってみないと問題点がわからないというのもある。

そういう意味では、一気に教育のICT化が進むのかといえば難しい。ちょっと進んで立ち止まるといった段階的な成長を繰り返すのではないかと考えています。何より、ICTに対応できる先生を着実に育てなければなりません。ICT教育のよさを実証し、そのよさを理解できなければ全体の流れは変わりませんから、やりきるには時間がかかると考えています」

衆議院議員 遠藤利明
1950年生まれ。中央大学法学部卒。山形県議会議員を経て、1993年旧山形県第1区で初当選(現在8期)。2006年文部科学副大臣、11年自民党幹事長代理、13年自民党教育再生実行本部長、15年東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣などを歴任。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 会長代行、超党派教育ICT議連(教育における情報通信〈ICT〉の利活用促進をめざす議員連盟)会長、ITはじめテクノロジーと教育に関する研究、啓発、政策提言などを行う超教育協会の評議員などを務める。
(撮影:保田悟史)

今回、新型コロナの感染拡大を受け、教育のICT化への関心が急速に高まった反面、その機運が今後も保たれるかどうかについては懸念が残る。だが、オンライン授業のよさを多くの人が実感したという点では、教育のICT化を継続して進める大きな力となるに違いない。一人ひとりの子どもたちに寄り添った多様性のある教育を実現するためにも、「GIGAスクール構想」が担う役割は重要だ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事