少子化で「みんな同じ教育」を続ける問題点 多様性を重視すべき、これだけの理由

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2019年の出生数は、過去最少の86万5234人でした。第1次ベビーブーム期の出生数が、約270万人だったことを考えると約3分の1になっています。国力を示すGDPは、基本的に人口と相関関係がありますから、単純に考えると将来的に日本の国力が3分の1になってしまう可能性がある。それを少しでも維持、あるいは高めていこうと考えると、1人が3人分の能力を発揮しないとならない。だから今までのやり方では、駄目なんです。

しかも、今の子どもたちは、昔と比べて体も脳も成長が早くなっているといいます。もちろん、大器晩成のようなゆっくりと成長する子もいますが、それぞれの子どもの成長過程に学校のシステムが追いついていないのです。だから、これまでの画一的な教育を見直して、一人ひとりの能力、個性、成長のスピードに合った多様性のある教育に変えていかなければなりません」

すでに小学校高学年で導入されている専科指導は、こうした一人ひとりに合った教育の実現を担う取り組みの1つだという。

小学校では、1人の教員が全科目を教える「学級担任制」が主流だが、専科指導は「教科担任制」を指す。専科指導の導入で、専門知識を持つ教員による充実した授業を行うのはもちろん、複数の教員が一人ひとりの児童を多角的に見ることで、きめ細かな指導を実現しようというわけである。一方、その中で、長年にわたり課題となっていたのが教育のICT化だった。

なぜ、日本では教育のICT化が進まなかったのか

「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、『教育のオンライン化を進めていれば……』というお声を多くの保護者の皆さんからいただきました。かねて私も“1人1台学習端末”を実現する教育のICT化について導入を強く提言してきましたが、学校というのは結果の平等を求める傾向があります。

学校は結果の平等を求める傾向があり、不平等という観点からやめてしまうことがある

たとえ7割がICT化に賛成でも、3割ができないと言えば不平等という観点からやめてしまうのです。またこれまでは、オンライン教育によって子どもたちがどれだけ成長したのかや、ほかの授業との実証比較が難しい点、さらに、教えることのできる先生が少ないという理由からなかなか進まなかった。

ただ今は、社会の情勢が変化してきたことや、ICT化に対する理解も浸透し、機会の平等を重視した教育に変えていかなければならないという機運が高まっています」

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