百貨店、コロナ一服でも本格回復が程遠い事情 EC化を一層加速、外商客との商談はズームで

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復調の兆しを見せたとはいえ、百貨店大手の本格回復には程遠いのが現状だ。

6月は都心型店舗よりも郊外店に客足が流れた。伊勢丹新宿本店の売上高は前年同月比21.9%減、三越日本橋本店が同17.1%減だったのに対し、郊外の伊勢丹立川店が同8.5%減、伊勢丹浦和店が7.6%減と落ち込み幅が小さかった。

大丸松坂屋百貨店でも、大丸梅田本店が同31.6%減、大丸東京店が同49.8%減だったのに対し、郊外型の大丸須磨店が同5.3%減、松坂屋高槻店は同18.3%減にとどまった。

本格回復は早くて来期以降か

高齢者を中心に、都心部に出ることにまだ慎重な姿勢の消費者は多いと見られる。「特に年配のお客さんは慎重。通常は30代ぐらいの娘さんと50~60代のお母さんが一緒に来店して、いちばん財布を開いてくれることが多いのだが、そういうお客さんがまだまだ少ない」と、エイチ・ツー・オーの荒木社長は指摘する。

三越伊勢丹HDも「現在は一時的な特需なのかどうか見極めが必要だ。本格的な回復は早くても来期以降」(広報)と話す。他の大手百貨店も「2次感染が広がったときに備えて、6月は化粧品などの分野でまとめ買いをする動きもあった」と今後反動減が出る可能性を示唆する。

前半戦の苦戦と今後の不透明要因が重なり、大手各社の今通期業績は大きく落ち込みそうだ。

J.フロントは6月29日、今2021年2月の通期業績見通しを売上収益3320億円(前期実績4806億円)、当期純利益260億円の赤字(同212億円の黒字)と、従来の売上収益4110億円、純利益50億円の黒字計画から、一転赤字に下方修正した。

高島屋は7月6日に2020年3月~5月期の業績を発表し、営業収益1162億円(前年同期比48%減)、当期純利益205億円の赤字(前年同期実績105億円の黒字)と赤字に転落した。

通期業績については、「コロナ影響の見極めが困難」との理由から計画を公表していないが、通期ベースでも赤字になることは免れない。同様に、8月に第1四半期の決算公表を予定している三越伊勢丹HDやエイチ・ツー・オーも大幅減益は必至の情勢だ。

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