フルキャスト事業停止 グッドウィルにも違法派遣の疑惑

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「特殊手当」が語る違法認識の可能性

 実はこの労災の裏側には複雑な雇用関係も横たわっていた。男性は人材派遣会社の東和リース(東京都港区)に派遣されたことになっている。だが実際に働いたのは三井倉庫の現場で、しかもその作業を請け負っていたのは港湾業者の笹田組(横浜市中区)だった。男性によれば「仕事の指示はすべて笹田組の所長から受けていた」という。
 東和リースと笹田組は男性の就労実態が「偽装請負」であったことを認める。グッドウィルは港湾運送という禁止業務への派遣に加え、職業安定法違反の二重派遣まで行っていたことになる。厚労省幹部は「派遣元はスタッフの労働実態を把握する義務がある。法の無知は法違反の理由とはならない」と言い切る。

 さらに男性は罹災の数日前に船内作業にも従事していた。勤務後に「船で働きました」と支店に電話すると、「特殊勤務車両手当」との名目で日給に500円が上乗せされた。ということは、同社は禁止業務への派遣を認識していた疑いが強い。こうした点に関してグッドウィル・グループは「現在、労働局にて調査を頂いている状況にあり、詳細の回答は差し控えたい」(広報IR部)としている。

 戦後長らく、派遣など労働者供給事業は、職業安定法において全面的に禁止されてきた。間接雇用では責任があいまいとなり労災事故につながりやすいとされたからだ。指摘したケースはその典型例といえる。こうした現状を放置すれば、「派遣」という雇用形態そのものの是非が厳しく問われることになるだろう。

(書き手:風間直樹)

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