「サカタのタネ」の期待の星 大気汚染を浄化する新品種

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まだナゾ多いメカニズム 環境機能のPR強化へ

こうしたサンパチェンスの高い環境浄化能力の秘密について、同社と共同で研究してきた浦野豊・東京大学農学博士は「他の園芸植物と比べ葉の気孔の数が多く、またサイズ(気孔面積比)が大きい」ことを挙げている。ただ、NO2やホルムアルデヒドの吸収能力が高い特性についてはまだナゾが多く、メカニズムの解明は今後のテーマになる。

国内では、約1年遅れの今年4月25日に発売した。以降「すでに予約でいっぱい。店頭へは6月下旬まで出荷の予定」と本田秀逸・執行役員花統括部長は話す。これは、ホームセンターなどへの卸売りを基本とするため。環境浄化能力などが報道されて、店頭では即日完売状態だった。

07年度の販売実績は約383万鉢(うち日本国内20万鉢)。滑り出しの好感触に自信をつけ、サカタのタネでは、今08年度は全世界で925万鉢と約2・5倍、国内だけでも40万鉢と倍増の計画を立てている。6月19~20日には、東京大学で開催される生態工学会において、サンパチェンスの研究成果が発表される。その結果を踏まえて、海外にもサンパチェンスの環境浄化機能をPRしていく方針だ。

とはいえ、売り上げ規模は1億7600万円程度と、全体に占めるウエートはまだまだ低い。「ガーデニングブームのピークは00~02年」(坂田社長)といい、同社の営業利益は低空飛行が続いている。国内市場が頭打ちの今、足踏み状態脱出は海外への拡販が握っている。

折しも、7月の北海道洞爺湖サミットは地球温暖化防止がテーマになる。環境浄化機能が評価され、すでに横浜みなとみらい地区、国営昭和記念公園(東京・立川)、鳥取花回廊などの大規模公園で植栽された。環境志向が急激に高まっている今、サミットはサンパチェンスを広く世界に知ってもらう好機となりうる。

「環境貢献型植物の育成」を重要な経営課題として掲げているサカタのタネ。その起爆剤の役目をこのサンパチェンスが担っている。


(宇田川日出雄 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済)
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