高市早苗総理発言への"過剰反応"に透ける中国側の思惑。日本はこの事態をどう活用すべきか
第2に、今回の対応からは、中国がアメリカとの関係を意識し、対米関係をマネージしようとする姿勢がみられる。
別稿でも指摘したとおり、中国指導部はアメリカとの国力の差を理解し、アメリカに追いつくために自国の経済成長を持続させる必要性を痛感している。経済成長のためにはアメリカとの関係を安定させる必要があり、25年10月末の米中首脳会談以降の姿勢にもアメリカへの配慮が感じられる。
例えば同年12月上旬には、中国公安部がアメリカと合同で薬物取り締まりを実施したことを明らかにし、何立峰・国務院副総理がアメリカ側と経済貿易問題の協議を行うなど、中国はアメリカと対話し、協力する姿勢を見せている。
また、12月2日にアメリカが「台湾保証実施法(Taiwan Assurance Implementation Act)」を成立させたが、中国外交部報道官は、「アメリカが台湾との公的な往来を行うことに断固として反対する」との一般的な立場表明にとどめ、それ以上の反発を示していない。同月上旬に公表されたアメリカの「国家安全保障戦略」にある台湾関係の記述についても、報道官は「留意している」と述べるにとどめ、反対はしていない。
今回、中国は高市総理の発言を第2次大戦と結びつけ、連合国として共に日本に対峙した歴史を持ち出し、アメリカを味方につけようとしている。12年のいわゆる尖閣諸島「国有化」の際と同様に、日本が戦後秩序に挑戦しているというナラティブを使うことで、中国はアメリカとの関係をマネージしようとしているのだろう。
責任ある大国を演じる中国
第3に、中国は自信をつけ、国際社会でのイメージを意識し始めている。



















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