これらの報道に対して、東京エレクトロンは8月7日に下記の文章を掲載したプレスリリースを出した。
当社は、法令遵守および倫理基準の徹底を経営の最重要事項と位置付けており、これに反するいかなる行為も断じて容認しておりません。関与した台湾子会社の元従業員についてはすでに懲戒解雇の措置を講じており、台湾司法当局による捜査に全面的に協力しております。
当社による調査では、現時点において関連する機密情報の外部への流出は確認されておりません。
ラピダスを疑う臆測は連想が要因
このように東京エレクトロンは外部へ機密情報が流出した事実は確認されていないと発表し、ラピダスへの流出について否定している。
台湾の報道でラピダスへの情報流出が疑われた背景はいくつか考えられる。現在のラピダス会長である東哲郎氏はもともと東京エレクトロンで会長を務めていた。今回、流出に関わっていたのが東京エレクトロンの現地社員だったことから結び付けられたと思われる。
また各種報道のされ方から推測するに、台湾の捜査当局も現地メディアに対して、日本企業に流出したとリークしているようだ。具体的な社名は出していないようだが、前述の理由からラピダスへの連想につながっているとみられる。
タイミングも影響した。7月18日にラピダスは「2nmノード GAAトランジスタの動作を確認」と発表した。世間一般では先端半導体の試作に成功したとみられたことで、この発表は台湾でも驚きをもって受け止められた。この成功が、TSMCから流出したとされる今回の機密情報の成果なのではないかとの臆測も広がった。
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