小学校受験「行動観察」で5〜6歳に問われるマネジメント力とは? 遊びとの共通点5つ 「お買い物ごっこ」でマーケティング視点が育つ

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例えばスーパーでの買い物。どっちの商品を買うか、なぜそれを選ぶのか。子どもと一緒に考えることで、判断力や目的意識を育てることができます。親がすぐに答えを出すのではなく、子どもに問いかけ、自分で選ぶ経験を積ませることがポイントです。

また、オセロやトランプなど対戦型の遊びも有効です。つい親が手加減して子どもを勝たせていませんか。子どもが負けたときこそ、「どうすれば勝てるようになると思う?」と問いかけ、試行錯誤の視点を持たせることができます。勝ち負けに一喜一憂するのではなく、その過程に学びがあるのだと伝えることに意義があります。

行動観察での学びは、将来「マネジメント」に役立つ

このように考えてみると、やはり遊びとマネジメントは多くの共通点があるようです。

① 目的に向かうプロセスの中で学ぶ
遊びは「勝つ」「売る」などの目標に向けて、試行錯誤しながら挑戦する。マネジメントも、チームやプロジェクトの目標に向かって、戦略や手法を工夫しながら進める。
② 自発性がカギ
遊びは「やらされる」ものではなく、「やりたい」「面白そう」という内発的動機から工夫が生まれる。マネジメントも、指示・命令ではなくてメンバーの自律的な行動が成否を分ける。
③ 予測不能な状況への対応
遊びは予定調和ではなく、周りの子の動きや偶然に対応する柔軟性が求められる。マネジメントも計画通りに進まないことが常であり、状況にあわせた判断や対応が重要となる。
④ 他者との関係性で成り立つ
複数人での遊びは、自分の気づきを周囲に伝えて全体に働きかけることが大事。マネジメントも、チームの動きや他部署の状況を踏まえ、調整と対話が必要になる。
⑤ 成功のカギは「気づく力」
遊びは、さらに楽しくなる工夫やもっと早く勝つ方法など、自分で気づくことで面白さアップにつながる。マネジメントも、課題に気づいて自ら動くことがスムーズな業務進行につながる。

お子さんと遊ぶとき、これらを意識して声をかけると、子どもの視野は格段に広がります。また、小学校受験に向けて行動観察の対策をしている家庭は、「一番に話そう」「大きな声で話そう」だけではなく、それぞれの課題で求められている視点を考えたうえで、子どもにアドバイスすることが大事です。そしてこれが、将来社会に出てからも役立つ学びになります。

「小学校受験=旧来的な教育モデル」といったイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際は小学校側も時代に応じて教育内容や受験内容を変えているのです。

逆に、仕事に疲れた親御さんたちは、遊びの視点を取り入れてみてはいかがでしょうか? チームで取り組むことを楽しむ気持ちをもつだけで、メンバーを含めて雰囲気が変わっていくはずです。ちなみに私たちも、コノユメSCHOOLに来てくれた方に「スタッフの皆さんが笑顔で楽しそうですね」と言っていただける機会が多くあり、ひそかな自慢です。記事を書きながら振り返ると、まさに上記の5つをクリアしていました。

社会が激しく変化し続ける今、子どもたちは“正解のない時代”を生きていくことになります。そこで必要なのは、単なる知識量や暗記力ではなく、「自ら考え、他者と協力し、変化に適応していく力」です。

子どもにとって遊びは「小さな社会」であり、リーダーシップ・戦略・交渉・協働の原体験となるものです。一方でマネジメントは「大人の遊び」とも言え、遊びと同じく創造的で柔軟な思考が必要とされます。遊びはマネジメントの入り口であり、マネジメントは遊びの本質を洗練・応用したものだと言えるかもしれませんね。

(注記のない写真:コノユメSCHOOL提供)

執筆:コノユメスクール代表 大原英子
東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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