「生徒の半分が中国人」鴨川令徳高校が留学生を受け入れる理由、日本人生徒への影響は? 「欧米より学費が安く、教育の質が高い」と人気
まだ国公立や難関私大の合格者は少ないのが現状だが、磯野校長は「合格者を増やし、学力レベルを上げていくことが今後の課題。スポーツの面でも知名度も上げていきたい。留学生にとっては、貴重な高校3年間を『日本で送ってよかった』と思ってもらえるようにしたい」と語る。
学生寮での日本人との生活や、掃除当番などを通して、大学や大学院で日本留学に来るのとは違う経験をしたり、日本の規律、社会のルールを学んだりしてほしいという。中国の高校には掃除当番は存在しないため、当初は戸惑う留学生もいるが、徐々に慣れていくそうだ。
放課後、筆者が掃除の様子を見に行くと、すべての留学生が「こんにちは」と挨拶してくれた。磯野校長は「中国との生活習慣の違いなのか、寮では電気の消し忘れやスピーカーの音漏れ、目の前に落ちているゴミを拾わない、などがありますが、その都度注意しています。他人の迷惑になることはしてはいけない、という考え方があまりない留学生もいますが、3年間できっちり学んでいってほしい」と語る。
日本人生徒にとってもプラス効果
磯野校長によると、留学生とともに学ぶことは、日本人生徒にとってもプラス効果があるという。
たとえば、留学生と隣席になった日本人生徒が、どのページを勉強しているのか教科書を開いてあげたり、教えてあげたりすることだ。ささいなことだが、その様子を先生が褒めたところ、他の日本人生徒もやり始めたという。
「国籍に関係なく、困っている人に手を差し伸べるような子に育ってほしい。言葉や習慣、常識が異なる国からきた留学生と机を並べることは日本人生徒にとって貴重な経験。これからの日本は多様化が進んでいき、彼らと接する機会はますます増えると思います。我が校がそのいい先例になればと思っています」(磯野校長)

(写真:中島氏撮影)
(注記のない写真:中島氏撮影)
執筆:ジャーナリスト 中島 恵
東洋経済education × ICT編集部
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