「生徒の半分が中国人」鴨川令徳高校が留学生を受け入れる理由、日本人生徒への影響は? 「欧米より学費が安く、教育の質が高い」と人気

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「実際、以前、そうしたことがあった反省から、日本人と中国人のバランスを重視するようになった」と磯野校長は言う。日本人が多数派であれば、そうした問題は起きにくく、むしろ、今年の1年生は留学生を3割に抑えた結果、積極的に日本語を話す環境になっているという。やる気のある留学生は学生寮でも、「日本人の生徒と相部屋にしてほしい」という要望を出したり、日本人とともにクラブ活動を行ったりするそうだ。

校舎1階にあるホールも生徒たちが掃除する
(写真:中島氏撮影)

留学生2人に話を聞いてみた。1人は香港生まれ、重慶市育ちの男子(2年生)。幼い頃から日本の文化に興味があり、将来は日本で働くことを念頭に同校を選んだという。理工系大学への進学を目指して勉強中だ。もう1人は広東省出身の男子(2年生)で、中国の受験競争を避け、日本の教育を受けてみたいと思って来日した。大学では心理学を学びたいという。

2人ともサーフィン部に所属し、放課後はときどき海に入っている。同校は野球部やバレーボール部に力を入れており、県外から特待生も受け入れているが、留学生は軽音楽部や料理部といった文科系のクラブ活動に入っている学生が多い。

留学生は主に特別進学コースへ

同校の学生は1年のときは全員総合進学コースに入り、2年から一部の学生は国公立や難関私大を目指す特別進学コースに分かれる。留学生は主に特別進学コースに進む。

中島 恵(なかじま・けい)
1967年、山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経てフリージャーナリスト。中国、香港など主に東アジアの社会事情、ビジネス事情についてネットや書籍などに執筆している。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』『なぜ中国人は財布を持たないのか』『日本の「中国人」社会』(いずれも日経BPマーケティング)、『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか』(プレジデント社)、『中国人のお金の使い道』(PHP研究所)、『中国人は見ている。』『いま中国人は中国をこう見る』『中国人が日本を買う理由』(いずれも日本経済新聞出版)などがある
(写真:中島恵氏提供)

創立からまだ5年しか経っていないので実績は少ないが、今年、1浪した卒業生(留学生)が筑波大学(理工学群)や千葉大学(理学部)に合格を果たした。ほかに東京理科大学、同志社大学、日本大学などの合格者もいる。

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