思春期に知りたい「体の自己決定権」とは?「性の話題」タブー視は危険を招く SRHRを伝えないと妊娠・出産の圧になることも

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学校でSRHRを扱う際に気を付けておきたいポイントは、

価値観を押しつけない:「産むこと=正しい選択」とならないよう配慮する
多様な生き方を前提にする:結婚・出産しない人生も含めて紹介する
生徒の背景に目を向ける:家庭状況や性暴力の被害など、個々の事情に配慮する
正確な知識をもとに説明する:感情的・道徳的な表現ではなく、科学的根拠に基づいて説明する

教育とは、「こうしなさい」と枠にはめることではなく、「正確な知識をもとに、自分で考え、自分で選ぶ力」を育てることですよね。SRHRの教育も同様なのです。

SRHRへの理解や包括的性教育は「防災」

私たち大人は、思春期の子どもたちに対して「守る」ことに意識を向けがちです。大切にしたから「教えない」「見せない」と考えてしまうかもしれません。しかし、子どもたちに正しい知識を教えないでいるのは、同時に危険にさらしていることを意味します。

子どもたちは、大人の知らないところで、日々どんどん新しい情報に触れますが、その情報は玉石混淆。そんなとき、SRHRについての知識があれば、あるいは包括的性教育(ジェンダー平等や性の多様性を含む人権尊重を基盤とした性教育)を受けていれば、防げるリスクはたくさんあります。いわば「防災」です。将来、大切な人とよりよい関係を育むためにも、SRHRの概念を理解することは大事です。

そして、性に関する話題を避けるのではなく、「相談することは恥ずかしいことではないんだよ」「困ったときにはなんでも相談していいんだよ」という姿勢を、日常から伝えていくことが何より大切です。

とはいえ、親子関係や生徒との関係は一筋縄ではいかないもの。オープンに話せる雰囲気の家庭・学校ばかりではないと思います。

「話すのが難しくても、何か困ったら、親や学校の先生なり、とにかく誰か大人に相談していいんだよ」とちゃんと言語化して伝えて、心理的安全性を担保してあげてください。

ちなみにSRHRは子どもたちのためだけでなく、大人自身の人生や健康にも関わる、すべての人の権利です。体のことで何か困っていることがあれば、我慢せずに専門医にご相談ください。

(注記のない写真:mapo / Getty Images)

執筆:産婦人科専門医 稲葉可奈子
東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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