深刻化する最貧国の経済、日本は支援で指導力を 国際開発協会めぐる増資の行方と日本の役割

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前回増資に当たるIDA20は通常3年に一度行われる増資が、IDAの歴史上初めて1年前倒しして実現された。これには以下のとおり、日本が重要な役割を果たしている。

増資に先立つIDA19は、2020年7月から2023年6月までの3年間の支援として2019年12月に総額820億ドルで合意された。しかし、新型コロナウイルスの流行により、低所得国に対するワクチン供給や医療支援が緊急に求められる中、IDAは支援を早めることを決定。2020年4月には初年度に350億ドルを活用することが決まった(当初予定では280億ドル程度だった)。

日本は主要ドナー国の立場を維持

このため、IDA19の3年目に資金不足が生じる可能性が指摘され、追加の拠出や次の増資(IDA20)の前倒しが検討された。当初は多くのドナー国が慎重だったが、2020年10月の世銀・IMF合同開発委員会で、日本の麻生太郎財務相(当時)が迅速な議論の開始を要請。これを契機にIDA20の前倒しが議論され、2021年4月のG20財務相・中央銀行総裁会議で支持を得て、1年早い増資が実現した。

IDA20増資交渉では、コロナ対応を含む低所得国の支援が必要とされる一方、ドナー国の財政状況も厳しかったため、支援規模と拠出額について活発な議論が行われた。日本は厳しい財政状況にありながら34.4億ドルを拠出し、全体シェアは13.8%、アメリカに次ぐ第2位を占めた。過去10年、日本のシェアは13%台を維持しており、アメリカ、イギリスと並んで主要ドナー国としての地位を占めている。

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