エーザイ「年間340万円」認知症新薬は普及するか 認知機能低下遅らせるが検査や投与面で課題も
認知症薬のパイオニアであるエーザイが開発した新薬「レカネマブ」が1月下旬からアメリカで発売される。新薬は認知症患者や家族の暮らしを改善できるか。
世界の死因トップ10に入る病でありながら、唯一予防法や治療法が確立していない認知症。その治療を変える可能性を秘めた新薬が登場した。
国内製薬大手のエーザイと、アメリカのバイオ企業バイオジェンが共同開発した認知症薬「レカネマブ」がアメリカでの迅速承認を受け、1月下旬から発売される。エーザイはアメリカでの迅速承認直後から、アメリカ、欧州、日本と立て続けに通常承認を申請。2023年12月までに各地域での承認完了を目指す。
認知機能の低下を27%抑制
レカネマブは認知症の原因とされる、脳内に蓄積する「アミロイドベータ」というたんぱく質を取り除く作用がある。エーザイが1997年に世界で初めて認知症の症状緩和薬として発売した「アリセプト」などの既存薬とは作用の仕方が異なる。臨床試験(治験)では、偽薬を投与した患者と比べ、1年半後の認知機能の低下を約27%抑制したという結果が出ている。
アメリカではレカネマブの費用は1人当たり年間2万6500ドル(約340万円)。迅速承認を受けて1月7日に開いた会見でエーザイは、レカネマブの1人当たりの社会的価値は年間3万7600ドルになるとの試算結果も示した。
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