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日本的雇用慣行と個人のキャリア形成 コロナ禍も人材育成方法に影響する可能性

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慶応義塾大学経済学部教授 太田聰一(おおた・そういち)1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

2月、海外の経営者グループにオンラインで日本の雇用システムについて説明し、意見交換を行う機会を得た。活発な議論となったが、筆者にとっても日本的雇用システムの今後について改めて思いを巡らす機会になった。

高度成長期以降に確立された日本的雇用システムの本質は、「企業による人材の長期育成と活用」にあるというのが一般的な理解だ。

長期的に人を育てるためには、従業員の定着と雇用安定が必要であり(長期雇用)、また勤続年数とともに職業能力が高まるがゆえにそれに応じた処遇改善も必要となる(年功賃金)。企業は社内での人材育成を重視し、会社の将来を担う基幹的な人材は新規学卒者から訓練しようとする(新卒一括採用)。企業は雇用保障の見返りとして従業員による企業への献身を得て、長時間労働や単身赴任などが生じるとされる。

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