印刷業界の雄がメタバース市場に殴り込む。その裏側には大日本印刷ならではノウハウ活用と狙いがあった。
東京・秋葉原のネオンきらめく街並みに浮かぶのは、巨大なデジタルアートの数々。近くまで歩みを進めると、音楽や音声が響き始めるものもある。
「東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYA」で1月に開催された「昭和百年展」。昭和の時代に流行し、目下再び脚光を浴びる「サイバーパンク」の世界観をテーマに、デジタルで活躍する気鋭のアーティスト18人の作品を100点以上集め展示した。
冒頭の「バーチャル秋葉原」はこの展示の入り口に設置された巨大ディスプレーで披露されたメタバースだ。4月には一般公開を予定しており、利用者が自宅のパソコンやVRヘッドセットからアクセスし、仮想空間を自由に散策できるようにする。
このイベントの総指揮を採るのが、東京アニメセンターの運営主体でもある大日本印刷(DNP)だ。同社は2021年3月にXR(VR〈仮想現実〉やAR〈拡張現実〉などの総称)コミュニケーション事業を開始。2025年までに、全国30の地域や施設の公認仮想空間の開発を手がけることも目指している。
凸版印刷と並ぶ国内印刷業界の雄で、書籍などフィジカルな印刷を祖業とするDNP。バーチャル空間という、言わば“印刷のない”世界であるメタバースに、なぜ踏み出すのか。
印刷だけにとどまらないDNP
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