
かきぎ・こうじ 1953年生まれ。77年東京大学経済学部卒業、川崎製鉄(2003年にNKKと統合されJFEスチール)入社。12年JFEスチール副社長、15年同社社長、19年から現職。(撮影:ヒダキトモコ)
鉄鋼業界が好業績に沸いている。日本製鉄に次ぐ国内2位のジェイ エフ イー(JFE)ホールディングスは2期連続最終赤字から一転、2021年度は2500億円の最終利益を見込む。目覚ましい復活は本物か。先行きのリスクをどうみるか。柿木厚司社長に聞いた。
PBR(株価純資産倍率)
業績急回復でも株価は解散価値を大きく割り込んでいる。株式市場は市況の反落や脱炭素の負担を懸念しているようだ。
──業績は絶好調ですが。
よくなった要因の1つは、国内でとくに製造業のコロナ禍からの回復が非常に早かったこと。もう1つは中国だ。これまでは中国が輸出を増やし、東南アジアの市況が乱れることがあった。だが、21年半ばから中国で内需が増えてきたことや、環境対策などから政策的に輸出が抑えられたことで、海外市場が安定した。
──足元は中国経済が減速気味で、自動車を中心に半導体不足の影響も長引いています。
中国の内需に不安はある。中国からの輸出が少し出てきて、海外市況が多少下がるリスクがある。ただ、事業環境に大きな変化はないと考えている。あえて言えば、非常に高い今の水準より1段か2段下がることはあるだろう。
──日本に起因するリスクは?
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