後払いPaidy「上場目前」でM&Aに舵切った真因 PayPal Japan、Paidy両トップに直撃①

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日本の金融業界をどよめかせた「巨額買収」は、いかにして実現したのか。ペイディとペイパルジャパン、両トップを直撃した。

直前まで上場準備もしていたというペイディ。ペイパル傘下入りの発表には、金融業界がどよめいた(左写真撮影:今井康一、右写真:ペイパル)

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2021年9月、日本のベンチャー業界で最大級のM&Aが飛び出した。アメリカの決済大手ペイパルホールディングスが、「BNPL」ともいわれる後払い決済サービスを手がけるPaidy(ペイディ)を約3000億円で買収すると発表した。
ペイディは、電話番号とメールアドレスを入力するだけでEC(ネット通販)サイトなどで決済ができるサービスを提供。クレジットカードのような審査ナシで利用できる(詳細は12月27日配信記事:3000億円買収で号砲!「後払い」新市場の大混戦)。
2021年3月末に約130億円を調達し、すでにユニコーン(企業価値が10億ドル以上のベンチャー)となっていたペイディ。突然のM&Aに日本の金融業界はどよめいた。巨額買収に至った背景について、ペイディの杉江陸社長とペイパル日本事業統括責任者のピーター・ケネバン氏に話を聞いた。
インタビュー後編:日本の「借金嫌い」文化を変革!Paidy社長の企図

「IPO最優先」で考えていたが

――ペイディは直前まで上場準備もしていたとのことですが、今回、買収という形で着地した背景には何があったのですか。

ペイディ 杉江陸社長:発表したのは9月8日の午前11時だったが、実際に(ペイパル側とM&Aの)サイニング(契約)をしたのが当日の朝の4時半。実はその日の昼に東京証券取引所に出向き、(上場承認前の)面接を受ける予定で、10月半ばにはIPO(新規上場)するという流れだった。つまり、ギリギリまで上場とM&Aを同時並行で検討していた。

ペイパル側から買収のLOI(Letter of Intent=意向表明書)をもらったのが、契約をした日の6週間前で、これはサプライズだった。そもそも6週間で契約に辿りつけるかは不透明だった。

M&AにしてもIPOにしても、成長資金を調達する手段であることは変わらない。だからどちらがより成長に資するかを内部で議論し、ペイパル側の意図も確認しながら、IPO最優先で話を進めていた。ただ発表直前の9月6日の取締役会で初めて、M&Aで行くかもしれないという話をした。

もともと9月7日の23時59分までに契約しなければIPOする、われわれはそのプランを変えるつもりはないという話をしていた。関係者に大変なご迷惑をおかけする形にはなったが、そういう経緯だ。

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