日本の金融業界をどよめかせた「巨額買収」は、いかにして実現したのか。ペイディとペイパルジャパン、両トップを直撃した。
「IPO最優先」で考えていたが
――ペイディは直前まで上場準備もしていたとのことですが、今回、買収という形で着地した背景には何があったのですか。
ペイディ 杉江陸社長:発表したのは9月8日の午前11時だったが、実際に(ペイパル側とM&Aの)サイニング(契約)をしたのが当日の朝の4時半。実はその日の昼に東京証券取引所に出向き、(上場承認前の)面接を受ける予定で、10月半ばにはIPO(新規上場)するという流れだった。つまり、ギリギリまで上場とM&Aを同時並行で検討していた。
ペイパル側から買収のLOI(Letter of Intent=意向表明書)をもらったのが、契約をした日の6週間前で、これはサプライズだった。そもそも6週間で契約に辿りつけるかは不透明だった。
M&AにしてもIPOにしても、成長資金を調達する手段であることは変わらない。だからどちらがより成長に資するかを内部で議論し、ペイパル側の意図も確認しながら、IPO最優先で話を進めていた。ただ発表直前の9月6日の取締役会で初めて、M&Aで行くかもしれないという話をした。
もともと9月7日の23時59分までに契約しなければIPOする、われわれはそのプランを変えるつもりはないという話をしていた。関係者に大変なご迷惑をおかけする形にはなったが、そういう経緯だ。
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