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経済書・経営書のトレンドを深読み 『読書大全』著者が分析

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コロナ禍は経済書・経営書のトレンドにも大きな影響を与えた。

経済書・経営書のトレンドは最近、かなりはっきりしてきた。数年前までは、ビジネスパーソンが読むのは、資格取得や昇進につながる手軽なハウツー本が中心だったが、最近では新型コロナウイルスの影響もあり、世界の本質的な問題、個人の内面をより深く掘り下げるような中身の濃い本が売れ筋になっている。

象徴的な例が、斎藤幸平の『人新世の「資本論」』だろう。資本主義社会の矛盾を鋭くえぐり、当時の人々を社会革命にまで導いた『資本論』が出版されたのは今から150年も前のことだが、今日に至るまで資本主義が内包する根本的な矛盾は解消されず、経済格差をはじめとしたそこから派生する社会問題は、深刻さを増している。

海外の書籍では、レベッカ・ヘンダーソンの『資本主義の再構築』、ショシャナ・ズボフの『監視資本主義』、ジョセフ・スティグリッツの『プログレッシブ キャピタリズム』など題名に「資本主義」の付くものが読まれている。

この嚆矢となったのが、2013年出版のトマ・ピケティの『21世紀の資本』だろう。この本によって、われわれは、資本主義はそのまま放置すれば経済格差を拡大する方向にしか力が働かないものだという不都合な真実を、歴史的に確認してしまったからだ。

『21世紀の資本』トマ・ピケティ 著 トマ・ピケティの『21世紀の資本』は世界で経済書としては異例のヒットとなった。資本主義の先行きに警鐘を鳴らした1冊であり、今の「脱成長」ブームの先駆けともいえる(撮影:尾形文繁)

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