中国の内外で注目を集めた歴史決議。だが、「習近平の権威性を高める」との解説は間違っている。
11月に入り、中国国内では習近平国家主席(党総書記)の露出が急速に増えた。G20(20カ国・地域首脳会議)、COP26(国連気候変動枠組み条約締約国会議)などでのオンライン会議や講演。六中全会(中国共産党第19期中央委員会第6回全体会議)では重要談話を発表した。さらにAPEC(アジア太平洋経済協力会議)にオンラインで参加。そしてバイデン大統領との米中首脳オンライン会談へと臨んだ。
その習が率いる党中央が「歴史決議」をするとあって日本のメディアも騒がしくなった。曰(いわ)く、決議は「毛沢東、鄧小平と並ぶ権威を手に入れる」ため。「3期目への下地づくりだ」と。
党中央を個人の権威づけに利用できるなら歴史決議などもはや不要と思えるが、日本の報道は横一列だ。歴史決議を利用して、習の権威強化を進めるとの見方に対し、誰も異論を挟まない。
一方、「権威強化に失敗した説」にも興味をそそられたが、奇をてらうだけの話であった。曰く、「毛や鄧に並ぶ存在として自らを位置づけ、江沢民や胡錦涛への言及は避けたかったはずだが、そうはできなかった」と。だが習の講話集を読めば明らかなように、江や胡への言及はずっと続いている。自らの権威づけに熱心であるのは政治家ならば当然のことだが、それはこの2人を軽視することで達成できるのだろうか。
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