日本投資に踏み切った必然 ソフトバンク「巨大ファンド」
世界中のベンチャー企業に投資する巨大ファンドの目線が変わってきた。
「嵐のど真ん中です」。11月8日に開かれたソフトバンクグループ(SBG)の2021年度中間決算会見。孫正義社長は冷静な様子でそう口にした。
5兆円の純利益をたたき出した20年度から一転、足元では強い逆風が吹く。直近7~9月期は純損失が3979億円となり、6四半期ぶりに赤字に転落。最大の要因は、傘下の投資部門、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が赤字を計上したことだ。
中国におけるIT企業への規制強化を受け、配車アプリの滴滴出行(ディディ)など同国の上場投資先が軒並み株価を大きく下げた。さらに昨年上場した韓国のEC(ネット通販)大手クーパンの株価低迷もあり、含み損が膨らんだ。
投資会社となったSBGの経営指標として孫社長が最も重視する「時価純資産」(NAV=保有株式価値-純負債)も、1年前の28兆円から、9月末に21兆円まで減った。
中でもSBGが直接保有し最大資産である中国アリババ株は、大幅な株価下落により、NAVに占める割合が59%から28%まで縮小。一方でSVFなどの投資部門は16%から44%に拡大した。「ビジョンファンドが本業の中心になるとかねて言っていたが、実際にNAVに占める最大のものになった」と孫社長は話す。
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