ITバブル崩壊中にテロ発生
――20年前の9.11のとき、田中さんは外資系証券会社に勤めていました。
事件発生時は日本時間の夜で、私は東京のオフィスで働いていた。テレビにビルが燃えているのが映っていて、最初は火災かと思ったが、しばらくすると2機目がビルに激突し、飛行機によるテロだとわかった。ワールドトレードセンターには金融機関の人も多く、みんな心配して急遽連絡を取り合った。ショックのほうが大きかった。
金融取引は担保にかかわることがあって、(ニューヨーク株式市場やアメリカ国債市場など)大半のマーケットは停止されたが、為替市場は開いていた。ショック時の典型的な形で(ドルなどの)債務国通貨が下がり、スイスフランや円がとくにしっかりする展開だった(注:テロ発生は現地時間の9月11日(火)午前9時前で、NY株式市場はこの日から14日まで休場。取引再開は週明け17日。テロ直前と比較した最大下落率はS&P500指数で11.6%(9月21日)だった。アメリカ国債の市場は9月11~12日の取引が停止された)。
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