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中南米できしむ「不安の断層」 揺れる政情と静かな市場

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市場の安定とその背後にある社会の緊張。こうした断層のずれが今、中南米ほどむき出しになっている地域もない。問題は、この明らかな不調和があとどれくらいで限界に達するかだ。

中南米の経済は今のところ改善が続いており、債券市場も不気味なほど落ち着いている。ところが、コロンビアの反政府デモに代表されるように人々の怒りは煮えたぎっている。新型コロナウイルスの1日当たり新規感染者数も新興国平均の4倍に達し、中南米に住む6.5億人の目の前には人道的な大惨事が広がる。中南米は以前から生産性の伸びの低さに苦しんできたが、政情が不安定化する中、資本投資も停滞している。

中南米の今年の経済データが良好なのは、昨年の成績が悪すぎたからにすぎない。中南米経済は昨年、7%のマイナス成長となった。確かに国際通貨基金(IMF)は4月公表の「世界経済見通し」で同地域の今年の成長率を4.6%と予測した。直近では6%近い成長率になるといった予測も出るようになっている。しかし中南米の大半の国では、1人当たり国内総生産(GDP)がコロナ禍前の水準に戻るのは2022年の後半より先になるだろう。深刻な経済危機からの回復度合いを測る指標としては、全体のGDPより1人当たりGDPのほうが適している。

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