トランプ政権下で深まった国内の分断と国際秩序崩壊の修復が大きな課題になる。
米大統領選挙は事前の予想に反して大接戦となった。11月3日の投票日から4日後にメディアはやっとジョー・バイデン前副大統領の勝利を報じた。今回の大統領選は政府を選ぶのと同時にドナルド・トランプ大統領の4年間の政策に対する信任投票であり、人間性を問う選挙であった。バイデン氏の地滑り的勝利が予想されたが、トランプ氏は約7040万票(約48%)を獲得した(7日時点)。メディアはバイデン氏の健闘をたたえたが、それ以上にトランプ支持層の多さが注目された。
バイデン氏は「勝利宣言」の中で、分断社会の「統一」を訴えた。だが今回の選挙で米国のイデオロギー、人種、地域、宗教などの分断は亀裂を大きくした。今や保守とリベラルの2つのグループに妥協を求めるのは夢物語である。かつてオバマ大統領は就任演説で「人種的和解」を訴えた。だが現実には黒人差別はさらに激化している。
熱狂的な保守層の支持を背景にトランプ陣営は強気の姿勢を崩さない。「選挙は盗まれた」と主張して敗北を認めず、郵便投票の不法性や集計の不正を理由にペンシルベニア州などで訴訟を起こしている。いくつかの訴訟は州裁判所で拒絶されている。訴訟の行方は予想できないが、最高裁まで持ち込まれる可能性はある。法廷闘争に決着がつくまで一波乱あるかもしれない。ただ裁判所で投票結果が覆る可能性はないだろう。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら