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「理想都市」雄安新区の開発はなぜ進捗がスローなのか 拙速を避ける政府の意向

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雄安新区を走る無人の移動販売カー。声をかけると停車する。品ぞろえはドリンク数種類程度(撮影:田中信彦)

首都・北京の南に「国家千年の大計」で建設が始まった「雄安新区」。計画発表から2年余りを経ても進捗は意外とゆっくりだ。その背景には拙速を避け、時間をかけて「理想都市」をつくりたいと考える政府の意向がある。

同新区の構想が発表されたのは2017年4月。人口2000万人を超え、都市機能が限界に来ている北京から、国家の首都としての機能以外の部分を大幅に移転し、経済、教育、文化などの領域で「副都」としての役割を担わせることを目指す。

同新区の中心地にはすでに「市民服務中心」がオープン、自動運転の移動販売カー、清掃車、コミュニティーバスなどが走るテストコース、顔認証で入退室可能なホテル、無人スーパー、先端技術を駆使したオフィス・商店・住宅棟などがオープンしている。

テナントには中国4大商業銀行をはじめアリババやテンセント、百度(バイドゥ)、京東(JD)などの主要IT企業がすでに入居した。今年6月までに270万人が見学に訪れたという。

しかし一般の目に見える進展はこの市民服務中心くらい。それも広さは500メートル四方ほど、技術も多くは既存のもので新味は薄い。帰りに駅まで乗ったタクシーの運転手も「どうだった? 何もないだろう」と苦笑していた。

中央主導の国家プロジェクトにしては初動が鈍いかに見えるが、そこには2つの理由がある。

第1は同新区の位置づけの違いだ。過去に成功した広東省の深圳経済特区や上海の浦東新区の場合、いわば海外の先進技術や経験を取り入れ、先進国にキャッチアップすることが大きな狙いだった。

一方、同新区が目指すのは、いわば「世界最高の理想都市」。最先端のIT、デジタル技術を総動員し、自然環境にも配慮した、人が暮らし、働き、学び、遊ぶ、すべての面で最高の環境の実現を基本構想は掲げている。一日も早く「追いつけ、追い越せ」で、儲かるものなら何でも貪欲に取り込んだ深圳や浦東と、最初から世界に誇れる理想形を目指す雄安新区とでは、開発の手法や進捗の速度に大きな違いが出るのは必然といえるだろう。

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