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外国人の買いが消えた深刻事情 中国が海外不動産投資への規制を強化

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(manoimage / PIXTA)

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日本の不動産を取得する海外勢の資金が急速に細っている。

2018年下期(7〜12月)に「外資系法人の買いが“消えた”」と表現するのは、みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所の平山重雄常務研究理事。同研究所が公表情報を基に調べた18年下期の国内の不動産売買取引は前年同期比34%減の1.7兆円だった。

とくに外資系法人による取得が落ち込んだ。17年下期に外資系法人は9620億円取得したが、18年下期は919億円へ約90%も減少。中でも中国系法人は17年下期の2600億円から18年下期7億円へ約99%減少した。

原因は中国政府の規制強化にある。17年8月、中国企業の海外投資について「3分類」を公表。奨励するもの、制限するもの、禁止するものの3つに分けた。海外不動産投資は「制限」に分類され、中国政府の厳しい事前審査をクリアしなければ実行できなくなった。その影響が18年下期に顕著に表れたようだ。

だが、外資の取得急減の理由はそれだけではないと平山氏は分析する。「日本の不動産価格が上昇し期待利回りが低下した。物件も品薄で投資意欲があっても買いにくい」。

米不動産情報サービス大手JLLも同様の見方を示す。同社の根岸憲一氏は「海外投資家からの問い合わせは今も週に1〜2回あり、オフィスビルなど日本の大型不動産への投資意欲は強い。プレーヤーも減っていない。ただ、出物が少ないので取引額が減っている」。

同社は海外の個人へ日本のマンションの売買仲介も行っている。その担当をしている鄧名殷(トウメグミ)氏は「シンガポールや香港の富裕層による日本のタワーマンション志向は相変わらず強い。プールやカラオケなど設備が充実し、眺望のよい物件はないのかという相談は今も多い」と話す。

海外の個人投資家向けに、日本の物件の管理受託サービスなどを行っている不動産テックベンチャーのウェルスパーク。川田隆太社長は「海外投資家から管理を受託する物件は毎月増え続けている」と需要の強さを感じている。

14年に台湾の投資家向けにサービスを開始したが、今では香港や中国の投資家も顧客になっている。対象物件も当初は東京都心の億ション(物件価格1億円以上の新築マンション)中心だったが、都心以外の東京都区部や大阪、福岡、札幌などにも広がる。

外国人による日本の不動産へのニーズは強そうだ。しかし、投資目的で考えたとき、物件価格の上昇は取得のマイナス材料。賃料が上がれば高い価格も正当化されるが、人口が減少する日本で賃料の大幅上昇は期待しづらい。すでに東京都区部の高級賃貸住宅の賃料は07年のミニバブル期の水準まで上昇している。

外国人の取得は投資目的が大半だ。割高と思う水準では購入しない。米国に次ぐ購入主体である中国も、自国の経済減速で、海外投資を抑制する可能性がある。海外勢による取得は19年にさらに縮小し、日本の不動産価格の下押し要因になりそうだ。

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